2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650481
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中尾 光之 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (20172265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 統裕 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (20282030)
山本 光璋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40004618)
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Keywords | 心臓血管系 / 1 / fゆらぎ / 圧受容器反射 / 制御規範 / sequence法 |
Research Abstract |
心臓血管系において特徴的な長期ダイナミクスは1/fゆらぎである。長期生存に成功した人工心臓制御においても心拍や血庄に1/fゆらぎが現れている。これらの事実は1/fゆらぎが生体にとって親和性の高いものであることを物語っている。本研究ではどのような制御規範によって1/fゆらぎが実現されているかを明らかすることを目的としている。心臓血管制御系の重要な目的の一つは血圧を生理的状態に合わせて調節することである。そのために心拍変動、末梢血管抵抗、および液性因子が動員される。これは総合して圧受容器反射と呼ばれる。その機能評価は反射ゲイン推定を通してなされる。その非侵襲的方法の一つにSequence法がある。.ここでは先ず、制御系の状態依存性を知るために立位、臥位、レム睡眠、ノンレム睡眠の4状態において圧受容器反射ゲインをsequence法によって推定した。その結果被験者を通じて立位<ノンレム睡眠<レム睡眠<臥位の順にゲインが高かった。これは重力負荷を受けて最も血圧レベルを保つ制御が必要であると考えられる立位では圧受容器反射が抑制されているということを意味しており、逆説的な結果である。また、得られた多変量時系列に自己回帰モデル(MARモデル)を当てはめた。さらにMARモデルをイノベーションで駆動して得られた時系列に対してsequence法を適用して圧受容器反射ゲインを求めた。その結果、状態依存性の傾向は一致したが、その絶対値は過小評価されていた。モデルによって写し取られたダイナミクスにおいてゲインが過小評価される現象は他の研究者によっても報告されており、一般的な問題である。本研究ではこれが信号の非ガウス性に起因するものであることを突き止め、非線形変換を施してゲイン推定を行い、MARモデルにおいても正確なゲイン推定が可能であることを示した。また、心拍と交感神経活動を制御変数として持ち、血圧を被制御変数とする心臓血管系モデルを構築して、最適制御を行ったところ、心拍変動の1/fゆらぎは制御対象のゆらぎを許容しないような厳格な制御規範ではなく、ある程度の範囲内での逸脱を許すような緩やかなものである必要が示唆された。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] M.Nakao, M.Yamamoto et al.: "Quantitative Characteristics of Alpha and Theta EEG Activities during Sensory Deprivation"Psych. and Clin. Neurosci.. 55・3. 191-192 (2001)
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[Publications] M.Nakao, N.Katayama, M.Yamamoto et al.: "Synchronization between Hippocampal Theta Waves and PGO Waves during REM Sleep"Psych. and Clin. Neurosci.. 55・3. 189-190 (2001)
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[Publications] M.Nakao, N.Katayama, M.Yamamoto et al.: "Phase Shift of Coupled Oscillator Model with Feedbacks in Response to Multiple Bright Light Exposure"Psych. and Clin. Neurosci.. 55・3. 295-297 (2001)
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[Publications] M.Nakao, N.Katayama, M.Yamamoto et al.: "An Optimal Control Model of 1/f Fluctuations in Heart Rate Variability"IEEE EMB Magazine. 20・2. 77-87 (2001)
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[Publications] M.Nakao, M.Yamamoto et al.: "Hypothalamic Sleep-Promoting Mechanisms : Coupling to Thermoregulation"Archives Italiennes de Biologie. 139. 63-75 (2001)
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[Publications] M.Yamamoto, M.Nakao et al.: "Pain Threshold Sensor Using Thermally Isolated Resistors for Heating and Temperature Measurement"Technical Digest of 18th Sensor Symposium. 89-92 (2001)
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[Publications] N.Katayama, M.Nakao, M.Yamamoto et al.: "Mutual Entrainment in A Brain Slice-Artificial Oscillator Hybrid"Proc. NOLTA. 375-378 (2001)
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[Publications] N.Katayama, M.Nakao, M.Yamamoto: "Computation in Single Neuron with Dendritic Trees"Brainware : Bio-inspired Architechture and Its Hardware Implementation. 179-205 (2001)
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[Publications] 中尾, 片山, 山本他: "生体リズムの多振動体モデル"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-105. 17-22 (2001)
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[Publications] 中尾, 片山, 山本他: "フィードバック機構を有するサーカディアンシステムのモデル化"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-106. 23-30 (2001)
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[Publications] 中尾, 片山, 山本他: "睡眠段階移行期における生体信号ダイナミクスの変化"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-107. 31-38 (2001)
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[Publications] 山本, 中尾, 片山他: "急速眼球運動予測性脳幹スパイク電位の電流源推定"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-108. 39-46 (2001)
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[Publications] 山本, 中尾, 片山: "統合的生体情報計測システムの歯科治療への応用"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-109. 47-54 (2001)
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[Publications] 山本, 中尾, 片山他: "薄膜サーモードを用いた刺痛反応時間計測システムの構築"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-110. 55-62 (2001)
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[Publications] 中尾, 片山, 山本他: "Sequence法による圧受容器反射ゲインの推定とその状態依存性"日本エム・イー学会東北支部大会講演論文集. 28 (2001)
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[Publications] 中尾, 片山, 山本他: "海馬薄切標本におけるニューロン活動の多チャンネル計測と解析"電子情報通信学会技術研究報告. MBE2001-113. 79-86 (2001)
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[Publications] 中尾, 片山, 山本他: "レム睡眠期におけるヒト顔面部からの脳幹スパイク電位計測"日本エム・イー学会東北支部大会講演論文集. 32 (2001)