2002 Fiscal Year Annual Research Report
地下鉄軌通の防振性評価と最適設計手法の構築に関する研究
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13650517
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 和久 新潟大学, 工学部, 助教授 (40175899)
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Keywords | 地下鉄軌道振動 / 未知量同定 / 現況再現 |
Research Abstract |
昨年度に構築した三次元地下鉄軌道振動解析手法を用い,測定された振動応答を加速度レベルで再現し得る,各種未知物性値の同定手法を構成した. 具体的な未知物性値として,軌道パッド・防振パッドの減衰係数およびバラスト道床のせん断弾性係数を対象とした.これらの物性値を反映し得る動特性として,レール・まくらぎ・待避所において測定された加速度スペクトルを採用し,それらの再現性に基づいて未知量同定を実施した. 未知量の同定過程においては,物性値の現設定値の下での軌道振動応答を,上述の三次元解析手法を用いて実行する必要がある.しかし,同定の過程では,非常に多くの未知物性値の組に対する順解析が必要であり,多大な計算時間を要することとなるので,これは現実的でない. そこで,未知物性値を入力,レール/まくらぎ,レール/待避所のスペクトル比を出力としたニューラルネットワーク(NN)を構築し,これを上述の順解析の代用とした.なお,同定に用いるスペクトル比には,その大きさに10^5程の開きがある.そこで,これらをオーダーによらず一定の相対精度で再現し得るNNを構成した. 同定手法としては遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた.GAによる場合,同定過程で導関数の評価が不要となるため,NNに対して導関数レベルでの再現精度を要求する必要が無くなる. まず,数値モデルによる順解析で得たデータを対象に,本同定手法の有効性を検証し,その妥当性を確認した.次に,実測データに対して同定を行ない,得られた未知物性値の下で行なった順解析による加速度応答の再現性について検討した.その結果,レールの加速度応答や,トンネル部における100Hz以下の主要な振動応答などが概ね良好に再現でき,本同定手法の妥当性が確認された.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 阿部和久: "ニューラルネットワークによる軌道振動応答の再現"日本計算数理工学論文集. 第2巻. 5-10 (2002)
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[Publications] 阿部和久: "列車・地下鉄軌道系の三次元連成振動解析"計算工学講演会論文集. 第7巻第1号. 377-380 (2002)
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[Publications] ABE Kazuhisa: "Three-dimensional analysis of subway track vibrations due to running wheels"International Workshop WAVE 2002. 1-4 (2002)
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[Publications] 佐藤大輔: "三次元解析による地下鉄軌道の振動応答評価"土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集. 第20巻. 23-26 (2002)
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[Publications] 佐藤大輔: "三次元解析による地下鉄の軌道構造の違いが振動応答に及ぼす影響の評価"鉄道技術連合シンポジウム. 523-526 (2002)
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[Publications] 阿部和久: "軌道振動系における未知量の同定精度の改善"鉄道技術連合シンポジウム. 527-530 (2002)