2001 Fiscal Year Annual Research Report
超音波による三軸圧縮試験用供試体の端部摩擦の低減法の開発
Project/Area Number |
13650549
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
塚本 良道 東京理科大学, 理工学部, 講師 (50253505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 永男 基礎地盤コンサルタンツ(株), 研究員
中澤 博志 東京理科大学, 理工学部, 助手 (20328561)
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Keywords | 超音波振動 / 室内三軸試験 / 端面摩擦 / 砂質土 / 粘性土 |
Research Abstract |
室内土質試験で最もよく用いられる三軸圧縮試験は、円柱形の土供試体の上下端面をキャップとペデスタルに挟み込み圧縮荷重にかける。本試験より理想的な土の変形・強度特性を得るには供試体内部で一様に変形が生じることが求められるが、実際には上下端面で発生する摩擦の影響を受ける。この上下端面の摩擦の影響を最小限に抑えるのに、従来より供試体の高さ/直径の比を2にして試験が行われてきた。しかし近年、原位置から不撹乱試料を採取するコストの面から、供試体の高さを短くし試験可能な供試体本数を増加することの有用性が指摘されてきている。そこで本研究では、さまざまな工学分野で摩擦低減方法として利用されてきている超音波振動により、供試体の上下端面の摩擦低減を行うことが可能か検討した。 本年度はまず、超音波振動素子を内蔵したキャップとペデスタルの作製を行った。特に、飽和土供試体は土骨格と間隙水から成り立っており、圧縮方向の振動では供試体内部にキャビテーションの発生が懸念されるため、ねじり方向の超音波振動(周波数18.5kHz、振幅0〜4μm)の載荷が可能な試験機の開発を行った。その後飽和豊浦砂に対して、供試体の相対密度と高さ/直径(H/D)の比を変えた、等方圧密排水および非排水三軸圧縮試験を行った。排水試験では、超音波加振によりせん断載荷中数回にわたり、軸差応力がピークに達する付近で、急激な供試体の体積変化によると思われる応力の低下という異常な挙動が観測された。非排水試験では、このような挙動は観測されなかった。また排水・非排水試験とも、超音波加振により最大軸差応力に大きな変化はなく、H/Dの減少によりせん断抵抗角は増加し、端面摩擦の除去に充分至っているとは言えない。そこで従来より端面摩擦の除去に用いられているシリコングリースとゴムメンブレンを挿入したところ、H/Dの減少にともなうせん断抵抗角の増加はわずかとなり、端面摩擦の除去が超音波加振による効果以上になされている結果となった。そこで次に、藤ノ森粘土の等方圧密非排水三軸圧縮試験を行なった。粘性土を用いた本試験では、超音波加振によりせん断抵抗角は低くなり、H/D比が小さいほどその傾向は如実に現れた。しかし、完全な摩擦の除去に至っているとは言えず、今後さらに試験を行い、検討を行なう必要性がある。
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