2002 Fiscal Year Annual Research Report
自由落下水膜の自励振動機構の解明および水膜と空気の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
13650561
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
京藤 敏達 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (80186345)
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Keywords | 自由落下水膜 / 自励振動 / せん断不安定性 / 波動不安定性 / 安定性理論 / 安定性理論 |
Research Abstract |
まず、自由落下水膜の制御を目的として、水膜上端に外乱を与えたときの水膜応答を実験および理論的に検討した。水膜上端に外乱を与えた場合の水膜応答を予測するモデルを導出し、水膜前後に閉空間が存在する場合の水膜の共振現象を表現するモデルを導出した。このモデルは重力によって落下する水膜の加速度、空間非一様性、水膜前後の空気流、それを通しての圧力伝播の効果をすべて含んでいる。このモデルにより、適当な周波数で水膜上端を加振した時の水膜変位を予測することができる。また、一般に使用されている共振振動数に関するShwartzの基準を改良し、空気の影響を考慮した共振曲線を求めることが可能となった。 次に、水膜の自励振動の原因および振動時に重要となる物理的要因を探るため、水膜上の波動を高速ビデオにより可視化し伝播する波動の波速を求めた。水膜変位の運動方程式の数値解析から空気中を伝播する圧力により波速が落下方向に変調することが予測されたが、これが実験により確認された。したがって、水膜の自励振動においても空気を通した圧力の伝播が関与することが示唆され、その重要性が確認された。 一方、空気流のせん断不安定性を局所的な流れの安定性理論により調べた。その結果、自由落下水膜が誘起する空気の吸い込み流れは極めて安定であり、従来の内部摩擦層における擾乱の不安定性としてはこの現象が説明されないことが判明し、水膜に破れがなければ空気流は不安定とならないと推定した。以上のことから、水膜の振動が励起される原因としては、いわゆる波動不安定性(wave instability)が考えられると結論付けられた。
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Research Products
(1 results)