2002 Fiscal Year Annual Research Report
多重スケール沿岸海洋モデル構築に基づく外海栄養塩流入フラックス算定の試み
Project/Area Number |
13650563
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八木 宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80201820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日向 博文 国土交通省, 国土技術政策総合研究所, 主任研究官 (70272680)
神田 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90234161)
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Keywords | 外洋水進入 / 東京湾 / 密度流 / 数値モデル / 栄養塩 / 中層貫入 / 季節変動 / 底層流入 |
Research Abstract |
最近の現地観測をベースとする研究によって,東京湾や大阪湾といった地形的な閉鎖性の高い内湾域においても,海流変動に伴う外洋水中層貫入現象や外洋底層から内湾への栄養塩供給過程の存在など,外洋水の動態が内湾の水質生態環境に重要な役割を果たしている可能性が明らかになってきている.このような外海から内湾への栄養塩供給が恒常的に行われているとすれば,これまでの陸域栄養塩供給を主体とした内湾物質収支の基本的な枠組み自体の再検討が必要となるため,外洋影響のさらなる実態把握,特に外海栄養塩流入フラックスの定量的評価が強く求められている.本研究では,沿岸域に与える外洋影響を直接評価するために,現地調査によって外海から沿岸域への栄養塩流入の実態を明らかにした上で,外洋モデルと地域水環境モデルを結びつける多重スケールモデルを構築し,外海から沿岸への栄養塩フラックスの定量的な評価法の確立を目指す.昨年度は,外洋域から沿岸域への栄養塩流入の実態を把握するために現地計測実験を鹿島灘海域で実施し,季節変化よりも短いスケールの変動現象として黒潮流路の急激な接岸に伴って外洋域下層から高濃度の栄養塩が沿岸域に供給されることを見いだした.今年度は,数値モデルの構築を試み,外海栄養塩フラックスを評価する上で重要な内湾域への外洋水進入特性について東京湾を対象として検討した.数値モデルの妥当性を,外洋水進入の観測データが比較的充実している1999年を対象として,8〜9月に発生した外洋水の中層貫入現象の再現を試みたところ,観測によって捉えられている底層進入モード(8月)から中層貫入モード(9月)への遷移や流入する外洋水の流心が外海側から湾奥に向かうにつれて東側(千葉)側にシフトする性質などを正確に再現していることが確認された.これを用いて,1998年各月について外洋水進入特性を検討した結果,流入量は冬季に小さく夏季に大きいという基本的な季節変動に加えて,6月,9月には季節変動では説明できない強い流入が発生したことが推定され,この時の外海域の塩分水温構造を検討した結果,高温低塩分の黒潮系水が湾口部に押し寄せたことが強い流入の原因であることを明らかにした.以上のように,今回構築した数値モデルによってこれまでその評価法が困難であった外洋水進入量定量化の基本形を示すことができた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 八木 宏, 片岡理英子, 藤原建紀: "東京湾における外洋水進入特性に関する数値実験"土木学会海岸工学論文集. 50(発表予定). (2003)
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[Publications] 八木 宏, 栃木謙, ブリラシド: "日本沿岸の内部潮汐波強度の推定"土木学会海岸工学論文集. 50(発表予定). (2003)