傾斜海浜上の波群の伝播変形と長周期波

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650567
• Research Institution: Nagoya Institute of Technology
• Principal Investigator: 喜岡 渉 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10135402)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 北野 利一 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (00284307)
• Keywords: 波群 / 波の非線形性 / スペクトル幅 / 包絡波 / 長周期波 / 伝播変調 / 伝播変調

Research Abstract

高波浪時の現地海岸における波群特性,長周期波の存在形態について検討するため,傾斜海浜上を伝播する種々のスペクトル形状をもつ波群の変形を,できるだけ単純化した模型断面を用いた系統的な水理実験により調べ,個々波の波形勾配が大きく非線形性の強い波群とそれに伴う長周期波の伝播変形特性を明らかにした.斜面各点の波群形,包絡波形,長周期成分,振幅スペクトルおよび最大振幅の変化の様子を詳細に調べ,斜面上を伝播する波群変形に及ぼす非線形性,分散性の影響について整理した.3次オーダーのZakharov方程式を用いた系統的な数値計算を行い,斜面上を伝播する波群変形に対する非線形波動モデルの適用性についても調べた.
本研究で得られた主要な結論は次のようである.(1)初期波形勾配の大きい波群はすべての実験ケースにおいて浅海域(個々波が砕波するより前)で扁平化し,それに伴い最大波高の変動は有降振幅波理論の浅水変形にも従わなくなる.(2)扁平化の度合いは波形勾配が大きいケースほど著しいが,初期スペクトルの形状による差異は比較的小さい.初期スペクトルよる差異は,個々の成分の位相差に現れ,その結果,見かけ上の振幅変調が小さく現れる場合がある.(3)長周期帯のスペクトルを比較すると,初期波形勾配(初期最大波高)とともに増加するが,ある程度以上の波形勾配になると逆に減少する.拘東長周期波成分は初期波高に伴い増加するが,砕波により励起される自由長周期波は振幅変調が抑えられるために小さくなるためである.このことは,長周期波のパワーや最大遡上高は必ずしもストーム時において最大波高の発生時と一致しないことを示唆している.(4)Zakharavo方程式による計算結果は,粘性摩擦減衰の影響を考慮してないものの,全てのケースにおいて砕波点付近までのスペクトル変動をよく再現している.

Research Products

• [Publications] Akter Hossin: "沖浜における長周期波の挙動"海岸工学論文集. 48. 271-275 (2001)
• [Publications] Mohamad Dibajnia: "可視化手法による波群の遡上運動の内部機構解明"海岸工学論文集. 48. 486-490 (2001)
• [Publications] 北野利一: "時間領域における入反射分離の試み"海岸工学論文集. 48. 168-170 (2001)
• [Publications] Akter Hossin: "Behavior of Long-Period Waves in the Nearshore Region"Proc. 1st Asian Pacific Coastal Engineering Conference. Vol.1. 379-389 (2001)