2003 Fiscal Year Annual Research Report
24時間生活サイクルを考慮した交通需要管理施策の評価に関する研究
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13650587
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
角 知憲 九州大学, 工学研究院, 教授 (90133090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 強 九州大学, 工学研究院, 助手 (80336015)
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Keywords | 通勤交通 / 行動モデル / 出・退勤時刻 / 交通需要管理 |
Research Abstract |
昨年度までに、出・退勤を含む全時間領域域における公共交通機関利用通勤者の行動モデルを作成し、次いで交通機関選択行動のモデルに拡張、さらに自動車利用通勤者の行動モデルを作成するとともに、ある大規模な事業所(将来、交通需要管理の施策の効果を実証する見地から、この施策を推進している北九州市役所を選定している。)の就業者全員を対象とする交通行動に関する詳細な調査に合わせて、このモデルに代入するバスや自家用車の交通サービスに関する入力情報を得るための交通流調査をおこなって、自家用車および路線バスの交通速度の5分ごと(午前)あるいは15分ごと(午後)の平均値と分散を計測している。これらの調査結果を適用して、自動車通勤者の行動を分析し、その善事か領域の行動予測と自動車・公共交通機関の選択行動モデルの開発を行った。この間に得られた知見は、次のようなものであった。 1)通勤者の交通機関選択行動に与える出勤と退勤の相対的な比重は、5:1の程度であると推定される。 2)自動車通勤者の出勤時刻決定は、(1)勤務先での遅刻確率を小さくすることと出発時刻を遅くする欲求の間で決まる時刻、(2)交通渋滞を避ける欲求で決まる時刻、のうち、早い時刻が選ばれるとみなせる。 3)公共交通機関と自動車との間の利用手段選択行勤では、通勤所要時間のうち、徒歩時間、待ち時間、乗車時間などの区別に応じた時間の質を考慮する必要がある。 4)交通需要管理の重要な施策であると位置づけられるパーク・アンド・ライドでは、それを選ぶ通勤者の性格が単交通手段利用者とは有意に異なる、すなわち全通勤者の一部である。 5)パーク・アンド・ライドを多くの通勤者が利用するためには、自動車通勤とのコスト差4〜500円必要である。今後は、パーク・アンド・ライドを選んだ通勤者の性質と通勤者全体の性質の相違を交通サービスや勤務実態との関係で分析すること、サイド・アンド・ライドなどの他の施策の効果を考慮することなどが必要である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Qiang Li: "Identifying the Determinants of Commuting Travel Mode Choice from Daily Commutation Behavior"Memoirs of the Faculty of Engineering, Kyushu Univ.. Vol.62, No.4. 191-206 (2002)
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[Publications] Qiang Li: "A Primary Model of Commuting Travel Mode Choice by Taking Account of Disutility of Commutation"Memoirs of the Faculty of Engineering, Kyushu Univ.. Vol.63, No.3. 173-183 (2003)
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[Publications] 李 強: "通勤者の出・退勤時刻決定行動に基づいた公共交通機関選択モデルに関する研究"土木計画学研究論文集. Vol.20, No.4. 827-834 (2003)
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[Publications] 中村 隼: "交通混雑の影響を考慮した自動車通勤者の出・退勤時刻決定モデルに関する研究"都市計画論文集. No.38-3. 523-528 (2003)
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[Publications] 柳原 守: "乗り心地と駐車料金を考慮した交通機関選択モデルに関する研究"土木計画学研究講演集. Vol.28(CD-ROM). (2003)
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[Publications] 樋口尚弘: "通勤交通における公共交通機関利用者の出・退勤時刻決定モデルに関する研究"土木計画学研究講演集. Vol.26(CD-ROM). (2003)