2001 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質高分解性微生物群を用いた好気・嫌気複合消化プロセスによる汚泥処理の研究
Project/Area Number |
13650597
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松本 明人 信州大学, 地域共同研究センター, 助教授 (30252068)
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Keywords | Bacillus属 / コンポスト / 好気性消化 / 最適曝気量 / 流入基質濃度 / 熱処理 / ATP / 嫌気性消化 |
Research Abstract |
汚泥の減量化を目的に、有機物分解能に優れると報告されているBacillus属細菌に着目し、それらを多く含むコンポストを種汚泥とした好気性消化実験を行なった。実験では曝気量、流入基質濃度(SS濃度:20000〜45000mg/Lおよび7000mg/L以下)、種汚泥の熱処理(60℃で8時間加温)、pH調整(pH7.5付近に維持)が処理性能に及ぼす影響について、実際の処理場や浄化槽の汚泥を基質に回分実験(消化温度:30℃)にて検討した。その結果、曝気量は1000mL/L・minが最適であること、流入基質濃度は低いほうが分解は安定すること、種汚泥の熱処理はかえって処理効率を下げること、pHの調整は運転pHが5〜7.5では必要がないことなどがわかった。さらにBacillus属を多く含むコンポストは種汚泥として有用であり、標準的な生物学的汚泥処理法である嫌気性消化の場合に較べ、2倍以上のVSS分解率を達成できることもわかった。 また反応槽内のATP濃度を測定し、好気性消化における運転管理指標との関連を調べた。その結果、ATP濃度とVSS分解率との間には相関が見られたが、ATP濃度とVSS濃度やVSS分解速度との間にははっきりした関係は見られなかった。ただしATP測定に関しては、今回の実験データ数は少なかったので、さらなる実験が必要である。 さらに好気性消化をおこなった汚泥(処理期間42日間、好気性消化によるVSS分解率69%)を嫌気性消化により再処理する実験(処理期間21日間、消化温度:30℃)をおこなった。その結果、メタンガスは若干生成するが、VSS分解はほとんどおこらず、十分な好気性消化を受けた汚泥では嫌気性消化によるさらなる分解は見られなかった。ただし本実験も実験回数は少なく、さらなる検討が必要である。
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