2001 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理場における内分泌攪乱化学物質ノニルフェノールの動態解析
Project/Area Number |
13650606
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
田中 修三 明星大学, 理工学部, 教授 (00171760)
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Keywords | 内分泌攪乱化学物質 / ノニルフェノール / 合流式下水処理場 / 浮遊物質 / 降雨 / アルキルフェノール |
Research Abstract |
本年度は下水処理場の水処理工程におけるノニルフェノール(NP)濃度の実態調査を,液試料と浮遊物質試料に分けて実施した。具体的には,東京都内の合流式下水道におけるA下水処理場で,NPを含むアルキルフェノール(AP)濃度を雨天時と晴天時にそれぞれ2回ずつ調査し,APの下水中濃度及び降雨が処理場内でのAPの挙動に及ぼす影響を調べた。 流入下水に対して,晴天時は4-t-ブチルフェノール(BP)と4-t-オクチルフェノール(OP)が0.1μg/L, NPが2〜4μg/Lで検出されたが,雨天時にはNP濃度は晴天時の最大3倍程度にまで達した。OPとNPは浮遊物質に吸着しており,とくにNPの吸着割合が高いのが特徴的であった。処理水において,晴天時にはBPは検出されず,OPとNPがそれぞれ0.1μg/Lと2μg/L程度の濃度で検出されたが,雨天時にはBPが検出され,OPとNPは晴天時の1.5〜2倍程度高い濃度を示した。 一方,浮遊物質(SS)への吸着量は晴天時でOPが流入下水で0.6μg/gSS,曝気槽で0.3μg/gSSであり,NPはそれぞれ20.5μg/gSS及び9.5μg/gSSであった。雨天時の比AP含有量は晴天時に比べて減少しており,たとえば,NPでは約25%低下していることがわかった。 このように,合流式下水処理場においては流入下水中のOPとNPの濃度が降雨により上昇する傾向を示し,とくにNPが雨天時に高くなることが分かった。また,OPとNPは処理水中にも残留し,雨天時にはその濃度が高くなる恐れがあることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)