2002 Fiscal Year Annual Research Report
下水処理場における内分泌攪乱化学物質ノニルフェノールの動態解析
Project/Area Number |
13650606
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
田中 修三 明星大学, 理工学部, 教授 (00171760)
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Keywords | ノニルフェノール / 合流式下水処理場 / 降雨の影響 / 余剰汚泥 / 多摩川 / 内分泌攪乱物質 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に続く下水処理場におけるノニルフェノール(NP)の実態調査に加えて,下水処理水も流入している多摩川におけるNPの調査も実施した。以下に,昨年度の調査結果も含めて報告する。 下水処理場の流入下水には,晴天時で,4-tブチルフェノール(BP)が0.16-0.17μg/L,4-tオクチルフェノール(OP)が0.21-0.36μg/L及びNPが2.84-7.49μg/Lの範囲で検出された。このうち,OPとNPの大部分は浮遊物質に吸着されていた。汚泥処理工程からの返流水はOPが0.75-1.67μg/L及びNPが18.62-44.21μg/Lであった。一方,処理水ではOPが0.03-0.11μg/L及びNPが0.69-1.41μg/Lであり,流入下水と返流水を合わせた総流入に対して,平均除去率はBPが100%,OPが79%及びNPが92%であった。一方,雨天時での調査によると,たとえばNPが晴天時の濃度に対して流入下水で3.1倍,処理水で1.6倍ほど高くなっていた。 また,余剰汚泥にはOPが0.07-0.26μg/gDS及びNPが0.86-3.57μg/gDS,余剰汚泥と初沈汚泥の混合汚泥ではOPが0.02-0.06μg/gDS及びNPが0.39-1.86μg/gDSの範囲で含まれ,余剰汚泥は混合汚泥の2-3倍高い濃度であった。 多摩川(府中四谷橋付近)の河川水に含まれるNP濃度を調査した結果、NPが0.03〜0.19μg/Lの範囲で検出された。本調査の流域においては、前日に降雨があると河川水のNP値はかなり高くなり、最大で晴天時の3倍以上のNP値が検出された。 以上,合流式下水処理場においては降雨によりNP濃度が流入・流出ともに高くなる傾向があり,都市河川である多摩川においても河川水のNP濃度が降雨の影響を受けることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)