空気循環式パッシブ煉瓦造住宅の開発研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650655
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 渡邊 俊行 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60038106)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 尾崎 明仁 北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (90221853) ; 龍 有二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (20191695) ; 林 徹夫 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (40150502) ; 赤司 泰義 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (60243896)
• Keywords: 煉瓦造住宅 / 空気循環 / 省エネルギー / 実測調査 / 室内空気質 / ホルムアルデヒド / 数値シミュレーション / 壁体内部結露

Research Abstract

空気循環式パッシブ煉瓦造住宅(以下、本システム)の実験棟を建設し、その室内温熱環境について実測調査するとともに、数値シミュレーションにより、(1)更なる暖冷房負荷低減策、(2)地域特性への配慮、(3)壁体内部結露の危険性、(4)煉瓦を金属のプレートとボルトおよびナットで緊結する乾式組積構法(DUP構法)と併用した本システムのライフサイクル評価(LCA)などを行った。
1.実験棟における実測調査
(1)夏季・冬季の調査結果
(1)外気温度が低下する9月下旬には昼間のクールチューブ使用や夜間通風が有効である。
(2)集熱パネルの集熱効率は十分であるが、トロンブウォールの放熱効果は改良の余地がある。
(3)温水パネル式暖房に比べ、本システムによる暖房は長時間快適な室内環境を維持できる。
(2)実験棟の竣工後1ヶ月のホルムアルデヒド気中濃度は、カーペット床とした2階で厚生労働省の指針値を上回ったが、竣工後半年のホルムアルデヒド気中濃度は当該指針値の約20%に抑えられ、24時間計画換気による空気質の向上が認められた。
2.壁体内部結露の検討
実験棟壁体内部の温湿度実測により、空気循環式パッシブ煉瓦造住宅は通年に亘り湿害の危険性が少ないことを検証した。また、数値シミュレーションにより、外側煉瓦と真空断熱材の間の通気排湿効果、真空断熱材と内側煉瓦の間の空気循環保温効果、その他様々な気象条件への適応性について明らかにした。
3.数値シミュレーション
本システムは全国的に省エネルギー効果の高いシステムであるが、さらに地域に応じて付設温室や室内蓄熱部位などの手法を追加することにより、更なる暖冷房負荷の削減を期待できる。
また、DUP構法と併用した本システムのLCAを行い、木造、湿式煉瓦造、鉄筋コンクリート造などに比べて、本システムはLCC02の少ない低環境負荷型住宅であることが明らかとなった。

Research Products

• [Publications] 野村 幸司: "住宅用トータルエネルギーシミュレーションの概要"Technical Papers of Annual Meeting of IBPSA-Japan/2002. 29-34 (2002)
• [Publications] 永田 修三: "空気循環式パッシブ煉瓦造住宅の開発研究 その7 実験棟の建設及び夏季予備実測調査"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)環境工学II. 589-590 (2002)
• [Publications] 大里 雅子: "空気循環式パッシブ煉瓦造住宅の開発研究 その8 実験棟の冬季実測調査"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)環境工学II. 591-592 (2002)
• [Publications] 永田 麻由子: "空気循環式パッシブ煉瓦造住宅の開発研究 その9 実験棟を対象とした数値シミュレーション"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)環境工学II. 593-594 (2002)
• [Publications] 篠原 和也: "九州における住宅の高断熱・高気密化に関する検討 その1 実験計画法を用いた建物仕様の検討"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)環境工学II. 21-22 (2002)
• [Publications] 小島 昌一: "九州における住宅の高断熱・高気密化に関する検討 その2 住まい方および建物仕様の冷暖房負荷に与える影響"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)環境工学II. 23-24 (2002)
• [Publications] 佐々木 靖: "通気工法住宅の温熱環境シミュレーション その1 シミュレーションプログラムの検証と冷暖房負荷"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)環境工学II. 141-142 (2002)
• [Publications] 龍 有二: "煉瓦造住宅の室内空気質"CREST国際シンポジウム「セラピューティック煉瓦造住宅の住環境効果」. S1.6-1-S1.6-5 (2002)
• [Publications] 渡邊 俊行: "煉瓦造住宅の室内環境制御システムの提案"CREST国際シンポジウム「セラピューティック煉瓦造住宅の住環境効果」. S4.1-1-S4.1-17 (2002)
• [Publications] 林 徹夫: "セラピューティック煉瓦造住宅のライフサイクルアセスメント"CREST国際シンポジウム「セラピューティック煉瓦造住宅の住環境効果」. S4.4-1-S4.4-6 (2002)
• [Publications] 中村 美紀子: "環境共生型煉瓦造住宅の開発 その1 実験住宅の提案と建設"空気調和・衛生工学会学術講演会 学術講演会講演論文集III. 平成14年. 1293-1296 (2002)
• [Publications] 大里 雅子: "環境共生型煉瓦造住宅の開発 その2 実験住宅の夏季および冬季実測"空気調和・衛生工学会学術講演会 学術講演会講演論文集III. 平成14年. 1297-1300 (2002)
• [Publications] H.Kubota: "Adequate Design for Highly Heat-Insulated and Air-Tightened Dwellings in Kyushu"Proc. of the 4^<th> Cross Straits Symposium on Materials, Energy and Environmental Sciences. 148-149 (2002)
• [Publications] H.Nomiyama: "Thermal Performance and Air-Conditioning Load of Houses with Air-Circulation in Walls"Proc. of the 4^<th> Cross Straits Symposium on Materials, Energy and Environmental Sciences. 206-207 (2002)
• [Publications] 中村 美紀子: "煉瓦の熱的特性と自然エネルギーを利用した室内熱環境制御システムの提案 自然エネルギーを利用した空気循環式煉瓦造住宅の開発研究 その1"日本建築学会計画系論文集. 第563号. 17-24 (2003)
• [Publications] 龍 有二: "煉瓦住宅の室内空気質に関する実測調査"日本建築学会九州支部報告. 第42号・2. 357-360 (2003)
• [Publications] 黒木 洋: "空気循環式パッシブ煉瓦造住宅に関する研究 その9 実験棟の夏季実測調査"日本建築学会九州支部報告. 第42号・2. (2003)
• [Publications] 永田 修三: "空気循環式パッシブ煉瓦造住宅に関する研究 その10 実験棟の冬季実測調査"日本建築学会九州支部報告. 第42号・2. (2003)
• [Publications] 大里 雅子: "空気循環式パッシブ煉瓦造住宅に関する研究 その11 数値シミュレーションによる検討"日本建築学会九州支部報告. 第42号・2. (2003)