2002 Fiscal Year Annual Research Report
施設の建替えに伴うユニットケアの導入が入居者―職員の関係性とケア内容に及ぼす影響
Project/Area Number |
13650672
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上谷 芳昭 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00258302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 研 京都大学, 工学研究科, 助手 (70311743)
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Keywords | 個室ユニット化 / ユニットケア / ケア / 高齢者施設 / 新型特養 / 個室化 |
Research Abstract |
本年度は、個室ユニット化に伴う入居者の生活とケア内容、および入居者一職員の関係性の変化を明らかにするため、1)空間特性の異なるユニットを有する個室ユニット化を取り入れた特別養護老人ホーム(街路型ユニットおよび独立型ユニット)、および2)既存の特別養護老人ホームにユニットケアを取り入れた場合について、入居者の生活展開ならびに介護職員の活動に関する調査を行い、以下の結論を得た。 1)セミプライベート、セミパブリック空間を多様に有する街路型ユニットでは、必然的にユニット面積が大きくなるが、それぞれの空間を目的性を持って主体的に使いこなすことができていたのは、歩行可能高齢者および痴呆が軽度の車椅子使用高齢者であることが示された。また、街路型ユニットでは、介護職員の不在時間が長く、痴呆が重度の高齢者の要求を汲み取ることが困難である状況が確認された。、 2)一方、独立型ユニットでは、入居者の滞在場所は居室とリビングに限定されるが、両空間の距離が近いため、痴呆が重度で車椅子の移動に一部介助を要する高齢者であっても、自力移動を行うケースが確認された。また、ユニット面積が小さいため、介護職員の不在時間が短く、介護職員と高齢者の物理的距離が近く、高齢者が介助依頼を行いやすい環境が創出されていることが明らかになった。 3)上記の結論から、重度の高齢者を想定したユニットの空間構成を検討する際には、いたずらに多様なセミプライベートおよびセミパブリックな空間を設けず、むしろコンパクトな移動動線計画を念頭に置くことの重要性を示した。また、4)既存の特別養護老人ホムにユニットケアを取り入れた施設を対象とした調査からは、ユニットケアに伴う事務およびミーティング方式の見直しが介護職員のユニット滞在時間を増やし、その結果、入居者と関わる時間が増加することが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 三浦研, 佐藤友彦: "入居者の生活とケアの変化からみる個室・ユニット化の効果"普及期における介護保険施設の個室化とユニットケアに関する研究報告書. 71-79 (2002)
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[Publications] 石田妙, 海道真妃, 外山義, 三浦研: "特別養護老人ホームの個室化・小規模ユニット化が入居者の生活展開に与える影響 多人数居室型から全室個室型への建て替え事例に関する研究 その1"日本建築学会大会学術講演梗概集、2002年. E-1分冊. 337-338 (2002)
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[Publications] 海道真妃, 石田妙, 外山義, 三浦研: "特別養護老人ホームの個室化・小規模ユニット化がスタッフに与える影響 多人数居室型から全室個室型への建て替え事例に関する研究 その2"日本建築学会大会学術講演梗概集、2002年. E-1分冊. 339-340 (2002)
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[Publications] 山本恭史, 佐藤友彦, 三浦研, 外山義: "重度痴呆性高齢者施設の小規模ユニット化に関する研究 職員と高齢者のコミュニケーションの視点から(その1)"日本建築学会大会学術講演梗概集、2002年. E-1分冊. 349-350 (2002)
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[Publications] 山本恭史, 佐藤友彦, 三浦研, 外山義: "重度痴呆性高齢者施設の小規模ユニット化に関する研究 職員と高齢者のコミュニケーションの視点から(その2)"日本建築学会大会学術講演梗概集、2002年. E-1分冊. 350-351 (2002)
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[Publications] 山口健太郎, 外山義, 三浦研: "重度要介護高齢者の睡眠-覚醒リズムと居住環境の関わりについて-個室ユニット型と多床室大規模型の比較から-"日本生理人類学会誌. Vol.7、No.2. 13-20 (2002)