2002 Fiscal Year Annual Research Report
ロマネスクの宗教建築のプロポーションに見る設計法と霊性表現の実際に関する研究
Project/Area Number |
13650697
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 雅嗣 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80198473)
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Keywords | ロマネスク建築 / キリスト教建築 / シンボリズム / 霊性 / 平面構成 / 尺度論 / 寸法 / プロポーション |
Research Abstract |
1.実測データの図面化と調査データ整理:昨年度の補足調査の結果も含めて概ね手許にある実測データの図化は完了した。完成したロマネスクの教会堂、回廊の実測平面図を総覧した結果、多くのものが従来流布している図面に見られる以上の歪みを示し、本研究における図化に一定の意義が認められた。図化作業を通じ、調査の、主に数値データについても整理を同時に行い、詳細な数値データの比較検討が行えるようになった。 2.調査データのデータベース化:実測値の数値データに関しては整理は行ったが、データベース化には至らなかった。35mmポジスライドで保存されている関係建築の大量の画像データは、図化作業に関して必要度の高いものから順次、デジタル化を行い、主要なロマネスク修道院の使用頻度の高いスライドのデジタル化を概ね終了した。作成済み実測平面図のデジタル化は終了した。 3.現地補足踏査:平成14年度は、最も重要なのル・トロネとセナンクのシトー会修道院について実測を含む補足的な現地調査を行った。正確な実測平面図、数値データが得られた。また、設計法と霊性表現の両義的なプロポーションのあり方に関しての仮説が確認された。 4.プロポーション分析:ロマネスクの設計法として言われて来た幾何図形の使用の検証は、遺構から確実に言うのは難しいことが判ったが、蓋然性としては否定できないことも判明した。幾何図形よりも、寸法を通じて表れる数、尺数が、当時の尺度単位の扱い方さえ間違えなければ、当時の心性として極めて重要な数象徴を介して、ロマネスク建築の多くを語ることが判った。設計法としての技術的意味の数と同時にそれは、数象徴を伴った当時の霊性の表象として両義的なものであり、寸法を様々なレベルでの建築的表象として捕らえ、当時の建築の意味を理解すると言う視座を得た。
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[Publications] 鈴木聖子: "首都ローマにおけるコンスタンティヌス帝のキリスト教バシリカ建築群について"日本建築学会近畿支部研究報告集 計画系. 第42号. 917-920 (2002)
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[Publications] 鈴木聖子: "首都ローマの競技場(キルクス)型バシリカについて"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)F-2. 3-4 (2002)
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[Publications] 西田雅嗣: "ル・トロネ修道院の教会堂建築について 2001年フランス・ロマネスク修道院建築調査報告(1)"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)F-2. 17-18 (2002)
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[Publications] 榎並悠介: "マザン修道院の教会堂建築について 2001年フランス・ロマネスク修道院建築調査報告(2)"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)F-2. 19-20 (2002)
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[Publications] 松本絵理: "シャレ、ボスコドン修道院の教会堂建築について 2001年フランス・ロマネスク修道院建築調査報告(3)"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)F-2. 21-22 (2002)
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[Publications] 中村和也: "リュール、ヴァルボンヌ修道院の教会堂建築について 2001年フランス・ロマネスク修道院建築調査報告(4)"日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)F-2. 23-24 (2002)
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[Publications] 榎並悠介: "ル・トロネ修道院建築の図面について"日本建築学会近畿支部研究報告集 計画系. 第43号(未定). (2003)
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[Publications] 石山智則: "歴史的建築と建築空間論"日本建築学会近畿支部研究報告集 計画系. 第43号(未定). (2003)
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[Publications] 羽生修二: "世界の建築・街並みガイド フランス・スペイン・ポルトガル"エクスナレッジ. 208 (2003)