2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650701
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
後藤 治 工学院大学, 工学部, 助教授 (50317343)
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Keywords | 保存 / 別荘 / ナショナルトラスト |
Research Abstract |
近代の別荘建築の現存する数量が多いと推定される神奈川県の湘南・小田原・箱根地方において、現存する別荘建築の実態調査を行った。調査対象としたのは、小田原、鎌倉、逗子、茅ヶ崎、平塚、藤沢、横須賀、大磯、二宮、箱根、葉山の7市4町である。これらの市町において、既往の文献等から別荘のリストアップを行い、現地を訪れ残存状況を確認し、現存する別荘建築のリストを作成した。調査の結果、現存する別荘建築は、152戸である(平成13年8月現在)。 また、7市4町における行政や市民団体が、別荘に対してどのような保存活用の取り組みを行っているのかを調査した。そのために、小田原市と財団法人日本ナショナルトラストが開催するシンポジウム「湘南・小田原・箱根の別荘文化を考える」の実施に協力し、各地の行政及び市民団体の状況を把握した。その後、各地の行政担当者や市民団体の代表者にヒヤリングによる調査を行った。 この他に、我が国の別荘建築に類似する事例として、イギリスのカントリーハウスやマナーハウスをとりあげ、その保存活用状況に関する文献収集を中心とする調査を行った。具体的には、それらを多数所有し、かつ、保存活用を図っている団体「ナショナルトラスト」の活動に関する調査を行った。調査の結果、ナショナルトラストが所有しているカントリーハウスやマナーハウスは、ロンドンから日帰りできる程度の場所にあるものが大多数を占めることが判明した。その立地条件は、湘南・小田原・箱根地区と共通点があり、我が国におけるこれからの別荘建築の保存活用を考える上で示唆に富むものといえる。 本研究の成果の一部は、研究室に所属する大学院生の本年度修士論文(前原紘司「湘南・小田原・箱根地域における別荘地の保存・活用に関する研究」)にまとめられており、次年度の建築学会等において発表を予定している。
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