2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650704
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
川本 重雄 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40175295)
|
Keywords | 寝殿造 / 書院造 / 民家 / 儀式 / 神楽 |
Research Abstract |
平成14年度に行った調査研究は、宮崎県椎葉村の民家の実測検査およびそこで行われた神楽の調査と文献史料による寝殿造・書院造における儀式の調査研究である。 椎葉村の調査については、平成14年7月に予備調査を実施した後、9月に宮崎県総合博物館に移築されている旧藤田家住宅、椎葉村の椎葉銅元宅・黒木守宅・那須利美宅の実測調査と聞き取り調査を行った。また、11月下旬から12月中旬にかけての土曜日夜に椎葉銅元宅・黒木守宅・鶴富屋敷で行われた椎葉神楽を学生の協力を得て調査した。これら一連の調査によって、神楽が並列型と称されるこの地域独特の民家平面と強いつながりがあることが確認できた。来年度も引き続き椎葉神楽を調査して、神楽をはじめとする儀式と民家平面の関連をより明確にしたいと考える。 文献史料による調査では、東三条殿における儀式に関する史料を収集・整理したほか、室町時代・江戸時代の行幸に関する史料を調査した。東三条殿の儀式に関する研究では、各儀式が成立した時期と座の配置構成に強い結びつきがあることが想定できた。特に東三条殿東対で行われた儀式に関して言うと、平安時代中期以前に起源がさかのぼる儀式は寝殿に向かって座を配置するのに対して、中期以降の儀式だと南面して座を設けるようになることが確認できた。二条城行幸も、平安時代以来の伝統を継承する儀式であるが、古くからの伝統を確認できる一方で、室町時代・江戸時代の新たな儀式も行幸の中に加わっていた。二条城行幸における行幸御殿・大広間・黒書院の座の配置から、伝統的な儀式と新規の儀式の違いなどを読みとることができた。来年度の報告書においてこれらの問題について詳しく検討することとしたい。
|
Research Products
(2 results)