2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13650708
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有田 正志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20222755)
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Keywords | トンネル接合 / ナノ磁性体ドット列 / グラニュラー薄膜 / 磁気抵抗効果 / 金属ナノワイヤー / 量子コンダクタンス / 電子顕微鏡 / トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
研究補助の最終年度のあたり、前年までに開発を行った要素技術に立脚して、金属微粒子系、金属量子細線におけるコンダクタンス量子化に関する研究を遂行した。当初目標としていたナノ磁気抵抗効果の解析までには至らなかったが、TEM内でのナノ構造作製、ナノ伝導パスの選択により、非磁性体における半整数量子コンダクタンス、Feにおける明瞭なコンダクタンス量子化、場所選択したFe微粒子系におけるクーロン閉塞等の新規事項が観測された。今後の発展が期待できると考えている。 1.ナノ伝導計測用TEMホールダ:サブnA分解能で電流計測可能なホールダが完成した。伝導計測場所をナノメートルスケールで選定可能であり、またその場所をほぼ100%の確率でTEM観察可能になった。また、このホールダをTEM電子ビームの安定性チェックに用いると、高感度なセンサーとなる事がわかった。 2.数個のFeナノ粒子とSrF_2絶縁障壁からなる伝導パスの電気伝導特性:主に、Fe-SrF_2複合膜を10nm程度堆積した針状金電極を試料とする、TEM内実験を行った。TEM像を観察しながら、別な針状金電極を試料に接触されることによりI-V測定(室温)を行った。その結果、接触断面積が700nm^2程度以下になったとき0.4V程度のクーロン閉塞が観測された。この領域に含まれるFe粒子数は10個程度以下である。今後のナノ粒子系へのTEM応用が可能となった。 3.AuおよびFeナノワイヤーにおける半整数量子コンダクタンス:非磁性のAuワイヤーにおいて半整数量子化が観測された。これはAuスピンの強磁性配列の可能性を示している。その出現確率は印加磁場、バイアス電圧、ワイヤー破断速度に依存して変化した。この半整数量子化状態の大半はミリ秒の寿命であったが、破断速度を遅くすること(5nm/s程度)により、1秒程度この状態を保持することができた。まだ再現性はないが、今後I-V計測、TEMによる形状観察による解析が期待できる。また、これまでにあまり報告のないFeワイヤーのコンダクタンス量子化を、TEM内で観測できた。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] R.Hirose: "Tip production technique to form ferromagnetic nanodots"Materials Science and Eng.C. 23. 927-930 (2003)
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[Publications] M.Arita: "Changes in magnetic microstructure and resistivity of permalloy thin films"Proc.Symp.Adv.Res.Energy Technol.2003. 293-294 (2003)
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[Publications] M.Arita: "In-situ experiment of Lorentz TEM and magnetoresistance measurements on a permalloy thin film"Trans.Magn.Soc.Japn.. 4. 9-12 (2004)
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[Publications] M.Arita: "Conductance quantization of nano-structured materials measured in TEM"2004エネルギー先端工学シンポジウム講演要旨集. 79-80 (2004)
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[Publications] 大森 和彦: "PVP中に分散され、NiまたはCoで被覆したPdまたはPtナノ粒子の磁気特性"第27回日本応用磁気学会学術講演概要集. 287-287 (2003)
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[Publications] 有田 正志: "ローレンツTEM・電気抵抗測定の同時実験とNi-Fe薄膜への応用"第27回日本応用磁気学会学術講演概要集. 303-303 (2003)
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[Publications] 有田 正志: "TEM内ナノコンタクト実験用探針の作製"日本物理学会講演概要集(2003年秋季大会). 804-804 (2003)
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[Publications] 広瀬 龍介: "微粒子の電気伝導とTEMの同時観察"平成15年度日本金属学会日本鉄鋼学会両支部合同冬季講演大会概要集. 16-16 (2004)
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[Publications] 田尻 隆幸: "金ナノワイヤーにおけるG_0/2量子コンダクタンス"平成15年度日本金属学会日本鉄鋼学会両支部合同冬季講演大会概要集. 34-34 (2004)
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[Publications] 田尻 隆幸: "TEM内で作成した金ナノワイヤーの量子コンダクタンス"平成15年度日本顕微鏡学会北海道支部学術講演会予稿集. 10-10 (2004)
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[Publications] 広瀬 龍介: "TEMを用いたナノ微粒子の伝導測定に関する研究"日本物理学会講演概要集(第59回年次大会). 902-902 (2004)
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[Publications] 田尻 隆幸: "金ナノワイヤーにおけるG_0/2コンダクタンス"日本金属学会2004年春季(第134回)大会概要集. (現在発行中で未定). (2004)
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[Publications] 細谷 裕之: "Fe-SrF_2グラニュラー薄膜の磁気抵抗効果"日本金属学会2004年春季(第134回)大会概要集. (現在発行中で未定). (2004)