2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650712
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤野 豊 東北大学, 留学生センター, 教授 (60005402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕壁 善隆 東北大学, 留学生センター, 助教授 (30194749)
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Keywords | イオンビーム-固体相互作用 / TRIIM-CODE / ラザフォード後方散乱法 / イオンチャンネリング / 転位 / イオンビーム照射・注入 / 材料特性変化 / 材料改質 |
Research Abstract |
イオンビームと固体の相互作用、あるいはイオンビーム照射下における材料特性の変は、その基礎的理解と応用目的の両面からこれまで長い間注目を集めてきた。現象を理解するためにこれまでに理論的にも実験的にも多くの研究がなされてきた。それにも拘らず、イオンビームと固体の相互作用の全過程、および引き起こされる材料特性の変化は、必ずしも理解し尽くされているとは言えない。 我々は、イオンビームと固体の相互作用、あるいはイオンビーム照射下における材料特性の変化の基礎的な研究をする目的で、純Cuの単結晶およびCu-1at.%Ni合金単結晶を試料として、300keVのAu^+イオンビームを室温で照射し、注入されたAu原子の深さ分布、飛程、および損傷分布をラザフォード後方散乱法により調べた。その結果、純Cuの単結晶の場合とCu-1at.%Ni合金単結晶の場合で、深さ分布、飛程、損傷分布に見過ごすことの出来ない顕著な違いがあることを見出した。 イオン照射においては、注入イオンも、はじき出された原子も、イオン化に費やされるエネルギーも、すべて深さ分布する。これらの分布は、今まで一般には、TRIIMCODEを用いて予測する事が出来るものと考えられてきた。ところが、我々が得た上記実験結果は、このような常識が必ずしも通用しないことを示すものである。換言すれば、これらの結果は、従来から知られているイオン照射下における原子移動の機構のみでは説明が困難なものである。我々は、上記実験事実を説明する、「イオンビーム照射下における固体中原子移動の新たな機構」を提案している。現在は、我々が提案している機構の存在を検証する目的で、組成の大きく異なる合金単結晶試料を用いた実験を行う準備をしている。
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