2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温比熱測定による溶融半導体の構造変化と構造変化誘起濃度揺らぎの研究
Project/Area Number |
13650715
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
土屋 良海 新潟大学, 理学部, 教授 (60089836)
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Keywords | 液体半導体 / 比熱 / 液体Ge-Te / 熱力学 / 構造変化 / 中性子回折 |
Research Abstract |
科学研究費補助金により計測部を更新した走査型断熱比熱測定装置を使用して今までに見出されている高温融体の連続転移のうちで最も鋭い転移を示す液体Ge-Te系の比熱の詳細な測定を主に行った。これと平行して、ガンマ線吸収法による密度の測定と超音波測定を行い、比熱のデータと組み合わせることによってGe-Te系の構造変化の熱力学特性を明らかにすることができた。即ちGe-Te系の構造変化のクロスオーバー温度T^*がGe_<15>Te_<85>で最も高くなり同時に比熱のピークの幅がこの組成で最も狭くなることを発見した。クロスオーパー温度T^*の組成依存性が15at.%で最も高くなることから、この組成での構造変化が濃度揺らぎを誘起しない極めて特殊な構造変化であることを示すことができた。更に比熱ピークのGe依存性をクロスオーバー温度T^*の揺らぎとしてとらえ、揺らぎの大きさに関して新しい考えを提唱した。(J. Non-Clyst. Solids 312-314(2002)212) この構造変化に伴う原子レベルのミクロな構造の温度依存性を調べるために、海外共同研究者のC.Bergman(L2MP CNRS, Marseille)博士とC.Bichara(CRM2C CNRS, Marseille)の中性子回折データと申請者の熱力学データを合わせて解析し、第1原理分子動力学の結果を相補的に用いることにより構造変化に伴いGeの回りの配数が急激に増加することを明らかにした。また、ボンド長の温度変化が比熱のピークの温度の領域で最大となることより構造変化の起源にパイエルス歪として知られている電子系と格子系の相互作用が本質的な役割を果たしていることを明らかにした。(Phys. Rev. B 67(2003) 104202-1-104202-5)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Tsuchiya: "Thermodynamics of the stuctural changes in the liquid Ge-Te system around the Tc-rich eutectic composition"J. Non-Cryst. Solids. 312-314. 212-216 (2002)
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[Publications] F.Kakinuma, M.Sakurai, Y.Tsuchiya, T.Fukunaga, K.Suzuki: "Thermodynamic and structural studies of liquid and amorphous Ge_<15>Te_<85-x>M_x(M=ag, Cu, In, and X=0 to 10)"J. Phys. Soc. Jpn. 72. 101-106 (2003)
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[Publications] C.Bergman C.Bichara, J.P.Gaspard, Y.Tsuchiya: "Experimental investigation of the water-like density anomaly in liquid Ge_<15>Te_<85> eutecticalloy"Phys. Rev. B.. 67. 104202-1-104202-5 (2003)