2002 Fiscal Year Annual Research Report
交換スプリング磁性膜のナノ磁気構造のX線磁気散乱による解析
Project/Area Number |
13650721
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
奥田 浩司 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (50214060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 弘雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学教育研究センター, 教授 (10011123)
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Keywords | 交換スプリング磁石 / X線磁気散乱 / X線反射率 |
Research Abstract |
抗磁力が大きい磁気的にハードな物質(例えばSmCo)の表面に磁気的にソフトな物質(例えばNiFe)の薄膜を成長させた交換スプリング磁性膜は特異な磁性を示し、大エネルギー積磁石などへの応用が期待される。本研究はソフト層の捩れ磁気構造をX線磁気散乱法で調べることを目的とし、実験とシミュレーション計算を行なった。シリコン基板に三層膜SmCo_5(16.5)/Ni_<80>Fe_<20>(60)/SmCo_5(16.5nm)を分子線エピタキシー法で成長させた。基板に面内一軸磁場をかけ、下側のSmCo_5層とNi_<80>Fe_<20>層を成長させた後、基板を面法線周りに90°回転し、上側のSmCo_5層を成長させた。この試料の磁化曲線は二段の変化を示し、上下のハード層の磁気モーメントが磁場配向していることが確認された。ゼロ磁場でソフト層の磁気モーメントは膜厚方向に振れた構造を取っていると予想される。X線実験は高輝度光科学研究センター(SPring-8)で行なった。円偏光シンクロトロンX線のエネルギーをNi K吸収端に同調し、試料の鏡面反射を測定した。非磁気反射率曲線はキージッヒ・フリンジを示し、各層の膜厚が設計値に近いことが分かった。磁気反射曲線は非常にノイジーであるが、散乱角2θ【greater than or equal】1.1°の範囲に光子統計を上回る変動が観察された。シミュレーション計算で予測された全反射臨界角付近(2θ〜0.7°)のピークと反射率振動は観察されなかった。X線分散面に対して印可面内磁場が0°、180°、90°、270°を成す方位で測定を行なったが、傾向は同様である。I(+)、I(-)の強度はかなり高いが、磁気情報を含む差強度I(+)-I(-)を計算すると、光子数が極端に小さくなる。現状のX線検出器は許容最高計数率が低く、I(+)-I(-)を稼ぐためには長時間の計数が必要である。この点を改善すれば、磁気反射曲線が測定可能になる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 橋爪弘雄, 奥田浩司, 細糸信好, 石松直樹: "薄膜磁性をX線で診る"マテリアルズインテグレーション. 14. 72-76 (2001)
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[Publications] H.Sano, H.Hashizume, H.Okuda, N.Hosoito: "Oscillatory resonant x-ray magnetic Bragg-peak signs and Gd moments induced"Jpn. J. Appl. Phys.. 41. 103-106 (2002)
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[Publications] N.Hosoito, H.Hashizume, N.Ishimatsu, I.T.Bae, G.Srajer, J.C.: "Magnetic structures of an iron-gadolinium multilayer at low temperatures N.Hosoito, H.Hashizume, N.Ishimatsu, I.T.Bae, G.Srajer, J.C."Jpn. J. Appl. Phys.. 41. 1331-1339 (2002)
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[Publications] N.Hosoito, H.Hashizume, N.Ishimatsu: "Magnetization curves of an Fe/Gd multilayer film calculated from Gd magnetization depth profiles determined by resonant x-ray magnetic"J. Phys. Condens. Matter 14, 5289-5301(2002). 14. 5289-5301 (2002)
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[Publications] K.Ishiji, H.Okuda, H.Hashizume: "Structures of submonatomic Sn layers in Fe/Cr(Sn)Cr magnetic multilayers determined by anomalous x-ray scattering measurements"Phys. Rev.. B66. 14443-1-14443-7 (2002)