2001 Fiscal Year Annual Research Report
液体金属の固定金属中への高速浸透と液体金属脆化の多様性
Project/Area Number |
13650725
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小泉 大一 明治大学, 理工学部, 教授 (60126050)
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Keywords | 液体金属脆化 / 結晶粒界 / 高速浸透 / 脆性破壊 / 多結晶 |
Research Abstract |
本来延性である固体金属にある特定の液体金属を付着させて力を加えると、固体金属は延性を失い、脆性破壊するようになることは、液体金属脆化として知られている。アルミニウムと液体ガリウムは、液体金属脆化を起こす代表的な組み合わせである。多結晶Alの粒界に沿って液体Gaが8μm/s程度の速さで浸透することが、薄膜上に少量の液体金属をおき、薄膜中での浸透速度を測った実験、粒界のTEM観察、バルク試料のX線トポグラフィなどにより確認されている。液体金属原子の粒界への高速な浸透が、多結晶Alでの液体金属脆化の原因と考えられている。しかし、液体金属原子の固体金属中への高速浸透が、液体金属脆化をおこす固体金属と液体金属の組に共通するものかどうかは明らかではない。 銅や銀は水銀によって脆化する。CuとAgの薄膜中へのHgの浸透速さをAlとGaの組と同様にして室温で測定し、これと、引張試験を行って求めたHgを付着してから脆化するまでの時間の関係を調べた。Ag薄膜中に浸透するHgの速さは約4μm/sであるのに対し、Cu薄膜の中には、0.01μm/sの速さでしかHgは浸透していかない。Agの場合にはHgをつけてから30秒程度のちには、破壊するまでののびに減少がみられ、破面観察でも脆性破壊していることが確かめられたが、CuにHgをっけた場合には、5分程度たってから徐々に破壊までののびの低下があらわれる。すなわち、Hgの浸透速さが速いほど、脆化するまでの時間は短い。以上の結果は、液体金属原子の固体金属中への高速浸透が、AlとGaの組以外にも、液体金属脆化を引き起こしている原因となっていると考えることができることを示している。
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