2001 Fiscal Year Annual Research Report
n型伝導性(GeSe_<3.5>)_<100―x>Bi_x系アモルファスの構造特性
Project/Area Number |
13650731
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
植村 治 山形大学, 理学部, 教授 (30007166)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 毅 山形大学, 理学部, 助教授 (70250909)
|
Keywords | アモルファス半導体 / n型半導体 / 局所構造 / EXAFS / メカニカルミリング / X線構造解析 |
Research Abstract |
本研究では、Bi添加Geカルコゲナイドアモルファスにおけるn型伝導性発現メカニズムの解明を目指している。平成13年度は、メカニカルミリング法を用いて(GeSe_<3.5>)_<100-x>Bi_x系アモルファスの作製を試み、熱物性および様々な構造解析実験を通して、アモルファス化過程の追跡、アモルファス中に形成される構造単位の特定および、アモルファス局所構造の定量解析を行った。 DSCやX線回折およびRaman分光測定を通してアモルファス化過程を詳細に追跡した結果、化合物出発(GeSe_2,Bi_2Se_3,Se)の場合、非常に短時間でアモルファス化すること、アモルファス化可能組成範囲は液体急冷法より更に高Bi濃度まで広がることが分かった。アモルファス化が容易でかつアモルファス化組成範囲が広いことは、n型伝導性アモルファスの物性を制御し応用する上で大きなアドバンテージとなる。また、単体出発の場合でもアモルファス化可能であることを確認している。 構造単位の形成についてRaman分光で追跡した結果、化合物および単体出発いずれにおいても、アモルファス化に伴いBiSe_<3/2>三方錘構造単位の伸縮振動モードに帰属されるピークが観測された。更に、X繰回折実験から得られる動径構造関数の定量的な解析により、アモルファス化によって形成されるBi-Se間の結合距離は2.76Å、配位数は約3であることを突き止めた。これ等の結果は、アモルファス化の進行により局所的に結晶Bi_2Se_3と非常によく類似した構造ユニットが形成されることを強く示唆している。また、GeSe_2ネットワークにBiSe_<3/2>三方錘構造単位が付加していくモデルで6Å付近までの中距離構造がよく再現されることも確認している。以上の結果から、BiSe_<3/2>三方錘構造単位の形成が(GeSe_<3.5>)_<100-x>Bi_x系アモルファスのn型伝導性発現に強く関与していることが示された。
|