2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規熱電変換材料をめざした秩序ペロフスカイト型酸化物Cd_3TeO_6の研究
Project/Area Number |
13650732
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
単 躍進 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (20272221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井本 英夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20168529)
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Keywords | カドミウム・テルル / 秩序ペロフスカイト / 単結晶 / キャリア制御 / 三価陽イオンの微量置換 / 熱電特性 |
Research Abstract |
本研究で扱う酸化物Cd_3TeO_6は電子ドーピングされると、優れた導電性を示すn型半導体であることから、この物質の熱電性能を調べるようになった。窒素雰囲気中で熱処理したCd_3TeO_6多結晶体のゼーベック係数が-200μVK^<-1>ぐらいであり、In置換によってCd_3TeO_6多結晶体の抵抗率が数mΩcmになった。これらのことから、Cd_3TeO_6系酸化物がn型酸化物として熱電性能を有する可能性が高く、調査すべき物質である。そこで、本研究は電子ドーピング型多結晶および単結晶体Cd_3TeO_6を合成し、熱電性能を調べ、高性能n型酸化物熱電材料に成り得るかどうかを考察した。 多結晶体試料は固相反応法により合成された。少量の3価陽イオン(La, In, Bi)によるCd^<2+>の置換、更に窒素雰囲気中の熱処理によってCd_3TeO_6への電子ドーピングを実現した。合成された試料について、電気抵抗率、ホール係数およびゼーベック係数の温度依存性を測定され、室温における熱伝導率の評価も行った。その結果、高原子価イオンのCd^<2+>の置換により、電子キャリアが導入され、その濃度が数倍から数十倍増加した。800℃での窒素処理はキャリアの移動度を向上させる効果が見られた。また、電気抵抗率の大幅の減少に伴い、ゼーベック係数が数倍増加したが(絶対値なら数倍減少)、熱電材料の出力因子、パワーファクターが確実に増加された(添付資料1の表2を参照)。La, In, Biの三種類陽イオンを比較すると、In置換の多結晶試料が最も小さな電気抵抗率を示し、室温で1〜5mΩcmに達した。Inの置換による電子ドーピングはCd_3TeO_6の導電性の向上に最も有効であることが分かった。 Cd_3TeO_6単結晶およびCd_<3-x>A_xTeO_6(A=In,La,Bi)単結晶は自己フラックス法によって合成された。得られた単結晶は全て針状結晶であり、長さは3〜6mmであった。Cd_3TeO_6単結晶は黄色を呈していたが、Cd_<3-x>In_xTeO_6及びCd_<3-x>La_xTeO_6単結晶は緑色、Cd_<3-x>Bi_xTeO_6単結晶は茶褐色であった。それぞれの単結晶の色は、多結晶体試料と対応していた。蛍光X線解析の結果により、電子ドープ型Cd_<3-x>A_xTeO_6(A=In,La,Bi)単結晶はAイオンの種類によらず、全ての単結晶において置換量xは0.02〜0.03であった。得られた全ての単結晶の格子定数は、0.02Å、0.1°の範囲内で文献値と一致した。Cd_3TeO_6単結晶の電気抵抗率は半導体的な振る舞いを示し、室温で1.2mΩcmであった。電子ドープ型Cd_<3-x>A_xTeO_6(A=In,La,Bi)単結晶では金属的な振る舞いを示し、室温での抵抗率は10^<-1>mΩcmのオーダーであった。得られた単結晶のゼーベック係数は、全て負であり、電子が伝導キャリアであることが分かた。Cd_3TeO_6単結晶のゼーベック係数は大きなも値であったが、電子ドープ型Cd_<3-x>A_xTeO_6(A=In, La, Bi)単結晶は減少した。しかし、三価陽イオンの微量置換による電気抵抗率の大幅な減少が、熱電性能指標であるパワーファクター(PF=S^2/ρ)の上昇を促進した。Cd_<3-x>In_xTeO_6単結晶は室温においてパワーファクターは4×10^<-4>W/mK^2であった。この値は、現在、n型酸化物熱電変換材料中で最も良いとされるBa_<0.4>Sr_<0.6>PbO_3の二倍以上である
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yue Jin Shan, Katsuhiko Sasaki, Kazuhiro Sudo, Hideo Imoto, Mitsuru Itoh: "New n-Type Thermoelectric Oxide, Cd_3TeO_6"J. Phys. Soc. Jpn. 41 Part 2No7A. 780-782 (2002)