2001 Fiscal Year Annual Research Report
磁性半導体のメゾスコピック光誘起磁気効果に関する研究
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13650736
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 哲也 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (10189532)
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Keywords | 磁性半導体 / (Ga, Mn)As / 走査型SQUID顕微鏡 / 磁区構造 / ストライプ磁区 / 光誘起磁性 |
Research Abstract |
希薄磁性半導体(DMS)は、スピンエレクトロニクスにおける中心材料として期待されているが、応用面で重要となるミクロな磁気的特性はほとんど報告されてない。そこで本研究では、III-V族のDMSである(Ga, Mn)As薄膜(面内磁化、膜厚t=1.0及び0.2μm)について、走査SQUID顕微鏡(SSM)を用いて磁区観察を行い、さらにt=0.2μmの試料に対して光照射効果についても観測を行った。 低温250℃における分子線エピタキシー(MBE)法により、(Ga, Mn)As薄膜を作成した。Mnの組成はそれぞれ4.7、5.3%であり、強磁性転移温度はいずれもおよそ90Kであった。また、SSM観察は低温(3K-100K)無磁場下において行った。同装置は試料面に垂直方向の磁場分布B_zを検知する。 SSMによる観測の結果、t=1.0μmの試料では、通常の強磁性体とは異なる特異な円形磁区構造を見出したが、観測された磁場はモデル計算の結果に比べ小さく、膜厚方向に対しても複数の磁区が存在することを示唆する。一方、t=0.2μmの試料では、通常のストライプ型に近い磁区構造を観測した。B_z値は300μTまで達し、理論値にほぼ等しい。この結果は、同試料においては、試料面垂直方向には単磁区構造となっていることを示している。 次に、t=0.2μm試料に対して光照射効果を調べた。光照射中の磁場の値は、未照射値40μTに比べおおよそ1.2倍に増強し、光照射を止めると元の磁場値に戻った。ただし磁場変化は遅く、3Kでは照射直後から最大磁場に達するまでに約50分を要した。この応答時間τは温度に依存し、温度が上昇するにつれτは減少する傾向を示した。さらにレーザー強度を半減させると磁場値の増加も半減した。このように0.02mW/mm^2と弱いレーザー強度で、しかも大きな磁場の増強が観測されたのは、本研究がはじめてである。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Fukumura, T.Shono, K.Inaba, T.Hasegawa, H.Koinuma, F.Matsuura, H.Ohono: "magnetic Domain Structure of a Ferromagnetic Semiconductor (Ga, Mn)As Observed with Scanning Prove Microscopes"Physica E. 10. 135-138 (2001)