2001 Fiscal Year Annual Research Report
導電性酸化物における高エントロピー伝導と熱電変換材料への応用
Project/Area Number |
13650740
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (50223847)
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Keywords | 酸化物熱電材料 / コバルト酸ナトリウム / バナジン酸リチウム / 微細ヘテロ構造 / 部分元素置換 / 電子比熱 / 焼結体 / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
1.NaCo_2O_4系酸化物における部分元素置換による輸送特性と構造との関連 現時点で最も優れた酸化物熱電材料であるNaCo_2O_4のNaおよびCoサイトをNiで部分置換し、構造パラメータ・導電率・Seebeck係数・キャリア移動度の変化を調べた。Naサイトの置換により導電率のみの、Coサイトの置換によりゼーベック係数のみの増大が認められた。また、高分解能SEM、SIMS、AESなどを用いて、焼結体の粒界構造や組成分布、結晶子の微細構造を検討中である。 2.LiV_2O_4系酸化物の合成と輸送特性の評価 NaCo_2O_4以上の大きな電子比熱係数を示す遷移金属酸化物としてごく最近報告されたLiV_2O_4は、NaCo_2O_4と同様の層状結晶構造を持ち、V3d軌道の直接相互作用による金属的伝導の可能性が示唆されているが、熱電特性の報告例はない。LiV_2O_4の焼結体を合成して熱電特性を測定したところ、ゼーベック係数は大きな正の値をとるものの、導電率はかなり低く、その温度依存性は半導体的であった。VサイトヘのMgやCaの部分置換固溶によるホールドープを検討している。 3.ZnO系酸化物における微細構造制御と輸送特性との関連 我々が見出したZnO系酸化物熱電材料は出力因子が酸化物中で最大であり、既存材料に匹敵するが、熱伝導率κも高い。ZnO系のフォノン散乱の選択的増強を目的として、異種酸化物粒子の分散や焼結体の多孔質化による微細ヘテロ構造の導入を試みた。ZrO2粒子を分散させる事により室温において熱伝導率κを約60%低減でき、フォノン散乱中心の増大が示唆された。しかし全温度域において導電率がやや低下したため、性能指数Zの向上には至らなかった。一方、有機樹脂微粒子を分散させて微細空孔を導入すると、κの低減は見られなかったが、出力因子が500℃付近で非常に大きな値を示し、電気的性能を向上させる事ができた。微細ヘテロ構造の導入による熱電性能向上の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shinichirou SHIGE, Michitaka OHTAKI: "Thermoelectric Properties of ZnO-based Oxide Ceramics as a Promising Material for Environment-friendly Thermoelectric Power Generation"Proceedings of the 3^<rd> Cross Straits Symposium on Materials, Energy and Environmental Engineering. 169-170 (2001)