2003 Fiscal Year Annual Research Report
導電性酸化物における高エントロピー伝導と熱電変換材料への応用
Project/Area Number |
13650740
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (50223847)
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Keywords | 酸化物熱電変換材料 / 酸化亜鉛 / コバルト酸ナトリウム / 部分元素置換 / ナノヘテロ構造 / 多孔質 / 熱伝導率 / フォノン散乱 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までの結果を踏まえて、下記の項目について研究を進めた。 1.NaCo2O4系酸化物における部分元素置換のサイト選択性 現時点で最も優れた酸化物熱電材料であるNaCo2O4のNaサイトをNiでイオン交換することにより導電率のみの、CoサイトをNi置換することによりゼーベック係数のみの増大が認められたため、量子化学計算手法を用いてサイト選択性や構造パラメータの最適化を検討した。CoサイトへのNi置換について、実験結果とのある程度の整合は得られているが、明確な結論には至っていない。 2.NaCo2O4系酸化物における非化学量論制御 NaCo2O4とを通常の固相反応法で合成する際に、Naの揮散によって生じるNa非化学量論性の制御を目的として、CO_2分圧の制御によって反応物である炭酸ナトリウムの分解を抑制することを検討した。pCO2=1atmでは、炭酸ナトリウムの分解は完全に抑制されるものの、目的生成物であるNaCo2O4の生成反応は停止したCO2分圧を種々変化させたところ、O2雰囲気でpCO2=0.01atmとすることにより、炭酸ナトリウムの分解を抑制したまま目的物を合成できることを見出した。また、電気化学的Na分圧センサを取りつけた焼成炉を構成し、試料合成時のNa分圧のin situモニタと精密制御を検討した。 3.ZnO系酸化物における微細構造制御と輸送特性との関連 引き続き焼結体の多孔質化による微細ヘテロ構造の導入を検討した。PMMAなどの有機樹脂微粒子を分散させ、不活性雰囲気下で焼結することにより、マトリックス部分が緻密に連続しつつ内部に微小な空孔を有する微細構造が実現できることがわかった。これにより導電率はほぼ不変のまま熱伝導率が最大35%以上低下し、性能指数の大幅な向上が実現できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Ohtaki, S.Maehara, S.Shige: "Thermoelectric Properties of Al-doped ZnO Sintered with Nanosized Void Forming Agents"Proceedings of the 22nd International Conference on Thermoelectrics. 171-174 (2003)
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[Publications] M.Ohtaki, K.Shouji: "Sintering Process and Nonstoichiometry of NaCo_2O_4 Layered Thermoelectric Oxide"Proceedings of the 22nd International Conference on Thermoelectrics. 227-230 (2003)