2001 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学の無機材料合成への応用とパノスコピック機能材料の創製
Project/Area Number |
13650742
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 宏明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70255595)
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Keywords | パノスコピック材料 / 機能性セラミックス / 二酸化チタン / 酸化亜鉛 / 吸水性ポリマー / ポリアクリルアミド / 細孔制御 |
Research Abstract |
本研究は、先行構築した有機物のフレームワークを機軸として所望の無機物質を合成することにより、マクロ(mm〜cm)、メソ(nm〜μm)、ミクロ(Å〜nm)の階層的なすべてのスケールにおいて高度に組織化された機能材料を創製することを目的としている。初年度は、マクロおよびメソ領域の制御を目的としたポリアクリルアミドゲルのフレームワークに二酸化チタンや酸化亜鉛を析出させることによる階層性セラミックスの合成手法の探索とその条件設定をおこなった。その結果、マクロおよびメソ構造制御に関して以下の知見が得られた。 (1)ポリアクリルアミドゲルのフレームワークとしての有用性:ポリマーの重合時に酸化物の前駆体分子を導入することによりポリマー内に酸化物を均一に含む複合体が作製できた。さらに、有機物を燃焼除去することでポリマーのマクロ形態を転写したセラミックス(二酸化チタンおよび酸化亜鉛)が得られた。すなわち、先行構築ポリマーによるマクロ形態の制御が可能であることが示された。(形態支持骨格としてのポリマー繊維の導入は必ずしも必要とされなかった。) (2)発泡剤の導入によるメソ構造の制御:ポリアクリルアミドゲルに尿素を添加することによって加熱時に発泡させることが可能であった。これにより、μmオーダーのセル構造の構築が可能となったばかりでなく、10-100nmレベルの細孔構造への影響も示唆された。すなわち、本研究における新規なメソ構造制御手法の可能性が示された。 (3)パラメータの最適化の検討:上記のマクロ、メソ構造制御法に関して、原料濃度、pH、熱処理条件などのパラメータと最終的な構造との関連を検討した。さらに、本方法によりマクロおよびメソ構造を制御した二酸化チタンを用いて光触媒活性を測定したところ優れた性能が得られたことから、構造制御の有用性が示された。
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