2002 Fiscal Year Annual Research Report
繊維強化複合材料の成形過程におけるウェルドライン上での繊維配向の可視化と数値解析
Project/Area Number |
13650747
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保田 和則 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80239756)
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Keywords | 繊維濃厚分散流体 / 円柱障害物 / スリット流路 / 屈折率整合法 / 複屈折 / ウェルドライン / 繊維配向 / 繊維の濃度分布 |
Research Abstract |
本研究では、短繊維を濃厚に分散させた流体の流れ中における繊維の配向状態と濃度分布を実験的に調べた。プラスチック成形加工おいては、リブや邪魔ピンなどの障害物が流路内に存在することが多い。また成形品は一般に薄肉のものが多い。このような理由から、成形加工のモデル流路として、円柱状の障害物を有するスリット形状をとりあげた。また試料流体として、長さ1mmのガラス繊維あるいは高分子の繊維をニュートン流体に混合したものを用い、これを繊維含有プラスチック融液のモデル流体とした。繊維を分散媒に濃厚に分散させた場合、繊維自身が邪魔になり繊維を観察できない。そこで、トレーサー繊維としてビニロン繊維を少量添加し、回転偏光板を使用して透過光で観察する手法を用いて、トレーサー繊維を明瞭に可視化した。可視化された繊維をデジタルカメラで撮影し、流路内における繊維配向と濃度分布を計測した。 その結果、円柱の上流域から円柱にかけての縮小流れが原因で、繊維の濃度にかからず繊維は流れ方向によく配向した。しかし円柱通過後の拡大流れにより、繊維濃厚系においては、壁面と中心線で挟まれた領域で繊維は流れと直交する方向に配向した。しかし、円柱通過後の壁面付近では繊維は壁面の影響で壁面に沿って、またウェルドライン上では伸長流れにより繊維は流れ方向に強く配向した。したがって円柱下流域では、領域によって繊維の配向が大きく異なる状態が現れた。繊維希薄系ではいずれの領域においてもほぼ流れ方向に配向し、繊維濃厚系のような特異な配向状態には至らなかった。また、流路内における繊維濃度分布は、繊維濃厚系では、ウェルドライン上において繊維濃度が極端に低下していることが明らかになった。繊維希薄系ではこのような現象は見られなかった。 このような定量的な結果は、成形品の力学的な強度やその異方性、そり・ゆがみなどとの関連を評価する上で有意義である。
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