2001 Fiscal Year Annual Research Report
半導性チタン酸ストロンチウム双結晶の点欠陥電気的特性
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13650753
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 剛久 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20220478)
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Keywords | チタン酸ストロンチウム / 粒界構造 / バイクリスタル / 二重ショットキー障壁 / 粒界電気的特性 / HREM / 点欠陥 / EDS |
Research Abstract |
本研究は、代表的電子セラミック材料であるSrTiO_3、の電気的特性についてその機能発現のメカニズムを明らかにすることを最終目的とし、系統的なバイクリスタルの作製、その粒界構造、組成、粒界電気的特性を調べる。今年度はその理論的バックグラウンドをサポートする基礎データの蓄積を図った。小傾角粒界について粒界電気的特性の熱処理依存性を調べたところ冷却速度の減少に伴い非線形特性が増大することが見出された。粒界構造を調べたところ、粒界は粒界転位列によって構成されており、それら転位はいずれも格子タイプの刃状転位であった。この構造は傾角に依存するために上に述べた熱処理に対して安定な構造となる。このことから、熱処理変化によって生じた非線形特性の変化は、粒界の構造変化によるものではなく転位を中心とした空孔の形成によるものであると考えられた。すなわち、粒界電気的特性が粒界転位を中心として生成・消滅する陽イオン空孔と密接に関係するものと考えられる。一方、小傾角粒界の回転角度を種々に調整した試料を作成し転位と電気的特性、特に電流-電圧特性における非線形特性との関連性を調べたところ、傾角が増大するに従って非線形特性が大きくなることが見出された。これらの相関性から転位一本あたりの補角電子量を見積もったところ10^<16>程度の電子の生成に関与することが明らかとなった。また、同じ傾角を持ち異なる粒界面となるバイクリスタルを作製しその電気的特性を調べたところ、粒界面ごとに異なる挙動を示すことが突き止められた。これらの結果から、今後点欠陥の生成と消滅挙動を粒界構造の立場から明らかにしていくことが粒界電気的特性を明らかにしていく上で必要であるとの結論が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Yamamoto, Y.Ikuhara: "Electron Transport Behavior in Nd-doped SrTiO_3 Bicrystals"Journal of Electron Microscopy. 50[6]. 485-488 (2001)
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[Publications] T.Yamamoto, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Current-voltage Characteristics across 45°Symmetric Tilt Boundary in Highly Donor-doped SrTiO_3 Bicrystal"Journal of Materials Science Letters. 20. 1827-1829 (2001)
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[Publications] T.Yamamoto, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Electrical Properties in Nb-Doped SrTiO_3 Bicrystals"Materials Transactions. (印刷中). (2002)
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[Publications] 山本剛久, 佐久間健人, 幾原雄一: "半導性SrTiO_3双結晶において形成されたCo化学界面の電気的特性"まてりあ. (印刷中). (2002)