2002 Fiscal Year Annual Research Report
方向制御層状組織を有するC40/C116二相シリサイドの組織と変形挙動の解明
Project/Area Number |
13650760
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30243182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029216)
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Keywords | シリサイド / ラメラー組織 / 破壊・変形 / C11b / C40 / C49 / バリアント / 界面制御 |
Research Abstract |
昨年度に層状組織の方向制御化に成功した複相シリサイドを用いて、本年度は、その塑性変形挙動、ならびに室温破壊挙動について解明した。一方向に層状組織を制御した二相シリサイドは、その塑性変形挙動に著しい方位依存性が認められ、層界面と荷重軸が平行な場合、極めて高い高温強度を示し、45°の場合、低強度と十分な加工性を示した。高温変形時の主たるすべり系は、C11_b相中での<111]{110)すべりであり、45°方向では、低温での良好な加工性も期待された。しかし実際には、バリアント界面でのひずみの連続性が不十分であり、期待された延性は得られず、加工性の改善には、{103)<331]すべりの活性化が必要であった。また、破壊靭性の改善も複相化により達成され、特にノッチ導入面と層状組織が垂直な場合に、その改善効果が顕著であった。こうした破壊特性の向上には、C40相内でのへき開面での、クラックの誘導効果とC11_b相でのへき開面の不一致が重要であった。さらなる破壊靭性の向上には、C11_b層内への残留ひずみの導入が提案され、実際、ビッカース試験法を用いたクラック伝播試験により有効性が認められた。 一方、昨年度までの課題であった、複相シリサイドの層状組織の熱的不安定性について、Cr添加により、その改善を試みた。Cr添加は、層界面上での整合ひずみを低減させる方向に作用することが期待されるが、実際にその効果は顕著であり、僅か1%の置換により、1400℃での熱的安定性は著しく向上し、168時間以内の焼鈍では、整合関係の変化した粗大なバリアントの形成は、認められなかった。 以上の結果より、シリサイドの複相化は、高温挙動、低温破壊靭性ともに改善することから、新しい超高温耐熱材料として極めて魅力的であることが結論された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Nakano, Y.Nakai et al.: "Microstructure of duplex NbSi_2(C40)/MoSi_2(C11b) crystals containing a single set of lamellae"Acta Materialia. 50・4. 1781-1795 (2002)
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[Publications] T.Nakano, Y.Umakoshi et al.: "Tensile deformation and fracture behavior in NbSi_2 and MoSi_2 single crystals"Acta Materialia. 50・14. 3731-3742 (2002)
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[Publications] T.Nakano, Y.Umakoshi et al.: "Plastic deformation behavior and operative slip systems of ZrSi_2 single crystals with the C49 structure"Scripta Materialia. 48・9. 1307-1312 (2003)