2001 Fiscal Year Annual Research Report
超高温環境下における耐酸化性ニオブ基合金の創製と耐食機構の解明
Project/Area Number |
13650770
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
幅崎 浩樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50208568)
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Keywords | 高温酸化 / ニオブ合金 / スパッタ法 / アモルファス合金 / 酸化物スケール / クロミア / 高温材料 / 透過電子顕微鏡 |
Research Abstract |
ニオブなどの耐火金属の合金や複合材料は高温強度に優れることから,次世代の高温材料として期待されているが,高温での耐酸化性に劣ることが問題となっている.本研究では,ニオブにアルミニウムやクロムなどの耐酸化性の改善に有効と思われる元素を複合添加し,耐酸化性に優れたニオブ基合金を開発することを目的として研究を行った. 耐酸化性を向上させるには合金表面に均一な保護スケールを形成させる必要があり,そのためには合金は単相もしくは結晶粒の小さいナノ結晶合金が望ましい.そこで,本研究ではニオブにアルミニウムとクロムを添加した単相アモルファス合金をスパッタ法により作製し,その耐酸化性について検討を行った.このように作製した合金は高温で結晶化しても結晶粒があまり成長せず,数10nmの結晶サイズに留まる. これまでの研究から,Nb-Al二元合金では,耐酸化性を担うと期待される連続的なアルミナスケールが形成せず,合金は800℃以上の温度でbreakaway酸化を示し,耐酸化性は乏しい.また,Nb-Cr合金においても,スケール内層にニオブを含むポーラスな酸化物層が生成するため,耐酸化性を担う外層クロミア層の局部的な破壊と修復を伴うような酸化となり,充分な耐酸化性は得られないことを明らかにしている.しかし,本研究において,ニオブにアルミニウムとクロムを同時添加することで,耐酸化性は大きく改善されることが明らかとなり,その1000℃までの酸化速度は典型的なクロミアスケールを形成する耐熱合金よりも小さくなった.酸化によって生成した表面保護スケールの解析を行ったところ,外層はクロミアからなり,また,最内層はNbOとAl_2O_3からなることが明らかとなった.このような低次のニオブ酸化物の生成はNb-AlやNb-Cr合金の場合には認められず,緻密な酸化物スケールが形成した結果,スケール内層における酸素ポテンシャルがかなり低下していることが示唆された.
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