2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子機器用極細線の機械的性質の向上と高真直化の研究
Project/Area Number |
13650785
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浅川 基男 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40288030)
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Keywords | 温間引張矯正 / 極細線 |
Research Abstract |
今年度の方針 過去の研究から極細線の矯正には温間引張矯正が適していることがわかってきている.これは,材料に一定張力を負荷したまま材料の加熱・冷却を行い,除荷をして材料を矯正するプロセスである.今年度は実験ではリン青銅φ0.089mmを用いて温間引張矯正を行い,目標真直度(φ=0.010mm/15mm)をめざして最適な矯正条件およびプロセスを追及する.またこの加工プロセスでは加工硬化と熱活性による軟化が同時に生じていると考えられるが,こういったプロセスの解析手法を確立し,温間引張矯正における棒線の高真直化メカニズムを解明することを目的として解析をおこなった. 研究成果 実験: φ0.089mmのリン青銅を用いて負荷張力Pを破断荷重の5〜40%,加熱温度Tを200〜300℃,加熱時間tを10〜40secとして温間引張矯正を行った.また,加熱中の材料の酸化を防ぐため,加工中に窒素をパージできる実験装置を作成した.その結果,これらの矯正条件範囲においてPおよびtの影響よりも加熱温度Tの影響が大きいことがわかった.P=10%, t=10sec, T=300℃とした場合に,試験片10本あたりの真直度φの平均は0.040mm/15mm程度になったが,試験片10本中の真直度の最大値と最小値の差(=バラツキ)は0.03mm/15mmであった.加熱温度を上昇させることで真直度の平均値を目標値に近づけることはできると考えられるが,このように真直度にバラツキが生じ,矯正後の真直度をすべて目標値に収めることは困難である.そこで一度加工を行った材料を再度温間引張矯正を行ったところ,真直度には大きな変化は無いがバラツキが0.02mm/mmへと減少することがわかった. 解析: 有限要素法汎用ソフトMSC.Marcに加熱および加工硬化に伴う材料の性質の変化を考慮した構成式を導入して,Cuφ5mmを材料モデルに温間引張矯正の解析を行った.これより,負荷張力および加熱温度の増加は真直度を向上させること,材料を加熱したことによる真直度の改善効果は,張力を負荷した時点での材料内部の応力分布が大きな影響力を持っていることがわかった.
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