2001 Fiscal Year Annual Research Report
窒化炭素薄膜の創製素過程におよぼす低エネルギーイオンの照射効果
Project/Area Number |
13650786
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
上條 栄治 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30214521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 芳史 龍谷大学, 理工学部, 助手 (70298735)
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Keywords | 窒素炭素 / 薄膜 / 電子サイクロトロン共鳴 / スパッタ / 基板電位 / N / C原子比 / (N-sp^3C) / (N-sp^3C)比 |
Research Abstract |
炭素と窒素の化合物である窒化炭素(C_3N_4)は、ダイヤモンドを凌駕する体積弾性率を持つと理論的に予測されて以来、多くの研究者によりCVD法、PVD法などにより合成の試みが行われてきた。しかし窒素量が化学量論組成から大きくずれ、結晶化が困難などの理由でいまだにその物性の詳細は明らかでない。われわれは、窒化炭素薄膜の合成には薄膜成長表面に低エネルギー(数十eV程度)のイオンを大量に昭射するプロセスが重要であることに着目し、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法を用いて研究してきた。 本研究は薄膜成長表面への低エネルギーイオンの照射効果を明らかにするため、プラズマガス組成ならぴに外部電源による基板電位の制御により窒化炭素薄膜を合成し、結合窒素量ならびにC-N結合形態に及ぼすイオン種と基板電位の効果を明らかにすることを目的にした。 ArとN_2の混合ガスをプラズマガスに用い窒素組成と薄膜のN/C原子比の関係を求めた。薄膜のN/C原子比はプラズマガスの窒素組成と強い相関があり、窒素のみの場合にN/C原子比が最大値0.35を示した。このことは、Arイオンによる成膜速度の向上効果と薄膜成長表面のArイオン照射による結合窒素の解離との両方の効果が示唆されるが詳細は今後の課題である。 照射エネルギーの効果を明らかにするため、基板電位を+40V〜-40Vと変化させ基板電位と薄膜のN/C原子比、C-N結合形態の関係を求めた。薄膜のN/C原子比と基板電位は強い相関を示し、-40Vにおいて最大N/C原子比0.35を示した。成膜速度は、マイナス基板電位において極端に低下、-40V以下の基板電位では成膜できず、薄膜成長表面へ照射される窒素イオンによるリスパッタによるものと考えられる。 炭素と窒素の結合形態は、N1sのXPS測定結果より、sp^3炭素に結合している窒素(N-sp^3C)とsp^2炭素に結合している窒素(N-sp^2C)の比で求めた。負の基板電位においてN-sp^3Cの増加が急峻で、-40Vにおいて80%以上がN-sp^3Cの結合であり、基板電位の効果が極端に大きなことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Eiji Kamijo, Yoshifumi Aoi, T.Hirahara, T.Tochimoto: "Process Parameters for Synthesis of Carbon Nitride Thin Films using Electron Cyclotron Resonance Plasma Sputter Method"Proceedings of the 6^<th> Applied Diamond Conference/2^<nd> Frontier Carbon Technology Joint Conference (ADC/FCT 2001). 609-614 (2001)