2002 Fiscal Year Annual Research Report
燃焼によるハロゲン化ダイオキシン生成反応機構の解明
Project/Area Number |
13650827
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
藤井 信行 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (50011119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 能規 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70293256)
小林 高臣 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (90225516)
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Keywords | ダイオキシン骨格 / 生成反応機構 / フェノキシラジカル / シクロペンタジエニルラジカル / 脱水素付加反応 / 衝撃波管実験 / 原子共鳴分光法 / メトキシベンゼン |
Research Abstract |
本研究は、炭化水素の燃焼によるダイオキシン骨格の生成が、シクロペンタジエニルラジカル(c-C_5H_5)と一酸化炭素(CO)によるフェノキシラジカル(C_6H_5O)の生成反応(1):c-C_5H_5+CO→C_6H_5O、及びC_6H_5Oの脱水素付加反応(2):2C_6H_5O→C_6H_4O_2C_6H_4+2Hを経て起こると考え、これらの反応過程を調べることを目的として実験を行った。 分光分析実験として、衝撃波管I(無隔膜式、内径50mm)を用い、酸素や水素など原子の濃度変化を原子共鳴吸光法により測定した。また、安定生成物の分析実験では衝撃波管II(無隔膜式、内径75mm)を用い、反応後の試料ガスをサンプリングして、TCD検出器および炭化水素に感度の高いFID検出器付ガスクロマトグラフを用いてガス分析を行い、GC/MS分析により高沸点生成物の検出を行った。実験温度範囲は、1200-1800Kである。 先ず、出発物質としてメトキシベンゼン(C_6H_5OCH_3)、トリフロロメトキシベンゼン(C_6H_5OCF_3)、メトキシペンタフロロベンゼン(C_6F_5OCH_3)、あるいはヨウ化ベンゼン(C_6H_5I)を用い、熱分解反応のほか酸化反応も行い、反応(2)の水素原子生成過程に及ぼすハロゲン置換効果の検討を行った。さらに、出発物質としてシクロペンタジエン(c-C_5H_6)を用い、熱分解によるc-C_5H_5の生成過程を調べた。これらの実験結果とコンピューターを用いた反応シミュレーションとの比較により、反応機構の解析を行った。その結果、反応(2)による水素原子の生成が定量的に観測され、その反応解析を行うことが可能になり、数値計算と比較し、反応(2)の速度定数の決定を行うことができた。さらにガス分析の結果、ラジカル類と水素原子の再結合生成物であるフェノール(C_6H_5OH)などが1500K以下の低温域で生成することが確認できた。また、器壁に付着した高沸点成分のGC/MS分析を行い、側鎖に酸素を含む芳香環化合物の生成が確認できた。これまでに得られたデータの解析を行い、反応(2)によるダイオキシン類生成の可能性を探っていく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大橋 知可子: "フェノキシラジカルの高温酸化反応の検討"平成14年度衝撃波シンポジウム(講演論文集). 291-293 (2003)
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[Publications] 藤井 信行: "衝撃波管を用いたフェニルラジカルの高温酸化反応機構の研究"平成14年度衝撃波シンポジウム(講演論文集). 289-291 (2003)
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[Publications] 杉本 和也: "フェニルラジカルの酸化反応機構の検討"第40回燃焼シンポジウム(講演論文集). 249-250 (2002)