2002 Fiscal Year Annual Research Report
製鉄所内COGガスによる燃料電池発電のための高度脱硫剤の開発とその脱硫性能
Project/Area Number |
13650828
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前 一廣 京都大学, 工学研究科, 教授 (70192325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 泰輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (10293987)
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Keywords | COG / 脱硫剤 / 廃棄鉄利用 / ナノ粒子 / 水蒸気ガス化 |
Research Abstract |
製鉄所では、高炉、転炉から高カロリーガス(COG,LDG)が排出されており、これらのガスは、製鉄所内での燃料源、都市ガスとして利用されている。これらのガスはCO,H_2を多量に含んでおり、燃料電池の原料に利用できれば、環境負荷を軽減した形で地域へのエネルギーリサイクルが可能となるとともに、製鉄所内のエネルギーあたりの炭酸ガス排出量を削減できる。しかしながら、これを実現するには、ガス中に含まれるCOS,メルカプタンなどの硫黄化合物の完全除去が必要となる。一方、製鉄所内の各工程(高炉、転炉及び圧延工程等)からは、微粒のFe、FeやZnの廃液が廃棄物として多量排出されている。これら未使用の廃棄資源、熱を上手に組み合わせて有価な製品としていくことは、製鉄を環境調和型産業に発展させていく上でも効果は大きい。この観点から、初年度に、以下に示す高性能な脱硫剤を製造する方法を提案した。まず、褐炭を硝酸酸化してカルボキシル基を導入して、Feでイオン交換後、500℃で炭化したのち、800℃、3h水蒸気ガス化し、Fe含有量が65w%の脱硫剤を製造した。この脱硫剤を500℃でH_2Sガス除去実験した結果、これまでの高性能脱硫剤に比べ、数段性能が優れていることが明らかになった。X線回折、SEM写真観察から、新規脱硫剤はFe_3O_4のみからなること、50〜100nmのグレインが分散し、ポーラスになっていることがわかった。本年度はこの考え方を発展させて、製鉄所内の廃スラッジ、転炉ダストへの応用を試みた。その結果、これら廃棄物はそのままでも脱硫剤として転用可能であること、酸で溶解したものを上述の提案法で高性能脱硫剤に調製可能なことを明らかにした。このように、提案した方法は水蒸気ガス化によってFeの化学形態を制御すると同時に、物理的な構造も制御できる有用な方法であることが明らかになった。
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