2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
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Keywords | グリーンケミストリー / 生体触媒 / メソ多孔体シリカ / 固定化酵素 / エステル化反応 |
Research Abstract |
クリーンでグリーンな化学プロセスヘの転換の有力候補として,酵素などの生体触媒を利用するプロセスヘの転換が考えられる.現在までに,種々の生体触媒利用プロセスが開発されている.しかし,現状では高温条件下,有機媒体下,高pH・低pH条件下などの極限反応条件下では生体触媒が容易に失活するなどの未解決の大きな問題が残されている. 一方,微細な孔を持つ多孔質物質は,その細孔構造に起因する分離,吸着,触媒などの機能を示すことから,様々な分野で利用されている.最近,規則的に配列し,15〜100Aにも及ぶ大孔径の均一な細孔をもち,しかもゼオライトとは孔内部の構造が異なるメソ多孔体と呼ばれる新しい多孔質シリケートの合成法が見出された.この新規物質の応用の模索が,様々な研究分野の観点から始まっている. 本研究では,酵素分子に適した細孔径を有し,しかも化学修飾したメソ多孔体シリカを用意し,酵素に対する吸着特性を調べ,有機媒体中でのメソ多孔体に固定化した酵素の安定性をまず明らかにし,メソ多孔体固定化酵素によるグリーン反応プロセスを開発した. 1)各種酵素に対して高い吸着能をもつメソ多孔体の探索. ゾルーゲル法に従って,トリブロックコポリマーを鋳型剤,テトラエトキシシランを主原料としメソ多孔体シリカを調製した.細孔壁面のシラノールをシランカップリング剤を加えて,種々の官能基を導入し,シリカ表面の官能基と酵素の持つ官能基の相互作用により酵素の固定化を図った. このとき酵素の取り込みに最適な空間サイズ,官能基の種類を見出すために,ゾルーゲル法で調製する際に鋳型剤の鎖長およびシランカップリング剤の種類を変え,異なる細孔径および官能基もつメソ多孔体シリカを調製した. 2)メソ多孔体シリケート固定化加水分解酵素の調製とその触媒作用の研究. 1)で見出した加水分解酵素を固定した複合体の触媒作用をエステル化反応を用いて調べた.特にメソ多孔体のもつナノメートルサイズの反応場を活かす反応として,長鎖カルボン酸のエステル化反応を選び,エステル化速度が向上することを確認した.
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