2002 Fiscal Year Annual Research Report
固相反応に対する触媒の添加効果:反応経路変換の詳細とその有効利用
Project/Area Number |
13650842
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 憲鐵 神戸大学, 理学部, 助教授 (70112076)
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Keywords | 流通系反応装置 / 固相反応 / 金属触媒 / 酸化カルシウム / メタン水蒸気改質 / 硝酸カルシウム / 分解反応 |
Research Abstract |
研究環境の整備に重点を置いた初年度に続いて、平成14年度でもさらにその充実を図るべく、(i)流通系反応装置への質量分析機の接続を行ってデータ取得の効率化を計ること、またそれを利用して(ii)高温でのメタン水蒸気改質反応に対する固体反応物CaOの関与の詳細を検討すること、さらに(iii)硝酸塩の分解・還元反応に対する触媒の添加効果に関する検討を行うことなどを計画した。 これらの計画のうち、(i)については、当初目標としたガスクロと質量分析計を備えた流通系反応装置の組立を完了させることができた。しかしながら、年度途中で行われた学舎の改修に伴う研究室の移動により、(ii)に関するデータは僅かしか収集できなかった。年度末の3月に至ってようやく装置の復旧が完了し、本格稼働が可能となっている。それ故、本計画の終了後もこれを利用して、当初目指した詳細なデータの収集を行う予定である。一方、(iii)については硝酸カルシウムを取り上げて検討した。触媒にはVIII族金属を用い、硝酸塩粉末の表面に担持させ、ヘリウム気流中での分解過程を追跡した。その結果、分解によって一酸化窒素と一酸化二窒素の他、窒素も生成すること、また触媒の添加は窒素への分解の選択性を僅かではあるが向上させることが分かった。それ故、ヘリウム中での分解経路は触媒の添加によって変換されるものでなく、単に金属との接触面の増加によって選択性が向上したものと結論した。一方、水素を用いた還元過程への添加効果については、検討する時間的余裕がなかった。触媒添加による反応経路の変換は、むしろ還元反応で起きる可能性の方が高く、今後も検討する予定である。 この他、CaOの固相反応を利用したメタン水蒸気改質について、詳細な速度論的検討を行い、その機構の概略を明らかにすることにも成功している。
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Research Products
(1 results)