2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650847
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 渉 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (20143654)
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Keywords | 金属酸化物触媒 / 金属酸素酸縮合 / 酸素酸クラスター / 結晶構造 / 表面構造 / 自己組織化 / 選択酸化触媒 / 酸素活性化 |
Research Abstract |
Mo-V-O酸化物はある特異な調製条件下で複数個のVがMoで囲まれた孤立クラスターを形成し、この孤立クラスターが形成された特異的結晶面のみが炭化水素の接触酸化に活性を示すことが判明した。クラスター化は複数の元素の組織化を促し、多元の触媒機能発現を可能にしている考えられる。このような準安定状態のクラスター格子構造は水熱合成のようなソフト合成時や表面場で起る自己組織化現象によってのみ生成するものと考えられる。本年度の研究では、クラスター格子形成の要因はどこにあるのか、何がクラスター格子の構造を決定しているのか、何故クラスター格子が高い触媒活性を示すのかを解明すべく、金属酸化物結晶面上に水熱合成条件や水溶液からの凝集過程下で起りうる非平衡自己組織化を利用してクラスター格子を形成させることを試みた。研究遂行の中でVやMoの水溶液からの水熱合成下凝集過程は酸化、還元が伴うため大変複雑で、極めて多くの因子によって影響を受ける事が判明した。そこで溶液中で起こるクラスター格子形成に必要な初期縮合体形成をラマン分析により追跡し、ビルディングユニットの形成とその役割を明らかにした。 対称性の高いビルディングユニットが水溶液内で形成されると、当然の事ながら凝縮過程で形成される2次元平面は単純となるが、対称性が低減したビルディングユニットが水溶液内で形成されると、自己組織化過程で多様な平面配置体をとるようになる。この際、組織化を制御するような元素が介在すると組織化の方向性は制限されるが、介在元素自体の性質によってさらに複雑な構造体を誘起するようになる。これらの結果は結晶形成過程ではっきりした現象であるが、基板表面ではさらに基板自体の構造が組織化の方向を制限すると予想されるので、より現象の異なった組織化が期待され、次年度の研究とする。
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