2001 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の菌糸形態の形成メカニズムの解明及び有用物質生産への応用
Project/Area Number |
13650854
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
朴 龍洙 静岡大学, 農学部, 教授 (90238246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 満康 静岡大学, 農学部, 教授 (50224051)
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Keywords | 画像解析 / フロースルーチャンバー / 菌糸形態 / アラキドン酸 / Mortierella alpina / 糸状菌 |
Research Abstract |
顕微鏡の標本台の上で実験ができるフロースルーチャンバーの製作を完成した。チャンバーの上で胞子を発芽させ、15分ないし30分間隔でデータをとり、画像解析装置により解析ができるようになった。チャンバー内の酸素や栄養源の律速を防ぐため酸素飽和状態の新鮮培地を一定流速で連続的に供給するシステムを構築した。更に、培養チャンバー温度の制御のためにスライドガラスの下に温度制御の可能な特殊ホットプレートを設置した。これによって、発芽してからの菌糸の伸張速度、枝分かれ頻度、尖端数の変化などのデータをオンラインでコンピューターに収集することができた。この装置の有効性を確証するため、Mortierella alpinaを用いたところ、菌糸形態の形成に関わるパラメーターの定量的な計測が可能となり、パラメーターの測定に関する標準誤差は5%以下であった。 本研究によって(1)通常では7日以上かかるが、この装置を用いると12時間後胞子の発芽が始まり、12時間測定することによって糸状菌の菌糸形態における環境の変化の影響を迅速に調べることができ、菌糸形態を予測するパラメーターを得ることができること、(2)培地の炭素源に対する窒素源の比率(C/N比)が菌糸形態を変化させる大きな原因であることが明らかになった。例えば、培養中窒素の比が高くなるほど、菌糸の増殖が旺盛になるが、逆に培地中炭素源の濃度が高くなるほど、菌糸の増殖速度が減少し、ペレットの形態をとることが明らかとなった。(3)更にペレット形態を形成した場合、ペレット内部構造を明らかにした。ペレットの内部は菌糸が密集していると知られてきたが、本研究によって、M.alpinaの場合ペレット内部が空洞であることが確認できた。
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