2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650874
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小泉 均 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00175324)
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Keywords | 高分子架橋 / ゲル / 放射線 / イオンビーム / ナノテクノロジー / ポリシロキサン |
Research Abstract |
本年度は、ポリジメチルシロキサンについて460MeVアルゴンイオン、350MeVネオンイオン、220MeV炭素イオンビームを照射し、生成する不溶分をメンブレンフィルターで分離して重量を測定することによりゲル細線の生成を調べた。不溶分はイオン照射量に比例して増加し、イオントラック一つ一つに沿って3nmから12nmの半径のゲル細線が生成していることがわかった。 ゲル細線の大きさはイオンビームの種類に依存した。アルゴンイオン、ネオンイオン、炭素イオンビームの順にゲル細線の太さは小さくなることがわかった。これは、イオントラック内での線量分布がイオンビームによって異なるためである。イオントラック内でのゲル化線量以上になる半径を見積もったところ、重量から求めたゲル細線の太さとそのイオンビーム依存性をうまく説明できることがわかった。すなわち、イオントラック内では線量が高いため、ガンマ線や電子線を照射した場合のゲル化線量以上に達する領域がある。この領域ではイオントラック一つごとにそのゲル化線量以上の領域でゲル化が起こっており、ゲル細線が生成しているのである。ただし、元のポリシロキサンの高分子鎖長である数百nmありゲル細線のまわりには数百nmの高分子鎖が生えているような構造をとっていると考えられる。このような構造とゲル化線量以上の領域として見積もった半径の関係についても考察を行い、矛盾が無いことを明らかにした。また、ポリシロキサン以外に、ポリフッ化ビニリデンなどの放射線架橋型の高分子でも同様の実験を行った。
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Research Products
(1 results)