2002 Fiscal Year Annual Research Report
異種酸化物結晶間のナノ空間制御による分子認識素子の設計
Project/Area Number |
13650878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 吉伸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30198254)
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Keywords | ヘテロ界面 / STM / 超近接場 / ZnO / 分子認識 / 強相関係 / センサー / 非線形特性 |
Research Abstract |
優れた基質特異性を有する酵素をモデルとし、その反応場類似の環境を無機物質にて構築することで生体物質のもつ優れた分子認識機能と無機物質本来の性質である構造安定性を兼ね備えた新しい化学センサー素子を開発することを第一の目標とした。反応場の構築は酸化物単結晶を探針とするSTMにより異なる酸化物単結晶表面との間にトンネルヘテロ接合を形成し、原子スケールにて精繊に制御されたヘテロ界面を反応場としてその場における直鎖アルコール分子認識機能の評価をすることに成功した。本研究では探針としてキャリア濃度の低い半導成物質を用いた効果で探針先端の金属原子が金属探針を用いた通常のSTSの場合と異なり、試料表面に著しく接近した(5Å以下)超近接トンネル接合を形成したその場のトンネル電流を計測している。この影響でCu-ZnO(0001)界面におけるトンネル電流に対する分子導入効果は分子のアルキル直鎖の短いものほど影響を受けやすいことがわかり、この設計した反応場がやはり生体類似機能の分子ふるい効果を有していることことが明らかにされた。本系では表面への化学物質の吸着は酸化物表面の電子状態を変化させ、その結果と分子ふるい効果の相乗作用で分子認識が可能となることを明らかにしたが、酸化物-酸化物問のような超近接場のトンネル接合においては化学的作用に限らず、例えば構造相転移に伴った表面電子状態のごく微小な変化に対して鋭敏に反応する可能性がある。例としてV203のような強相関電子系で構造相転移により金属-絶縁体転移おこす物質や、低次元物質のようにパイエリス転移が認められる系において、酸化物探針による超近接トンネル接合場で相転移に伴う表面電子状態の変化を接合の電流-電圧特性変化によりとらえられないかについての研究を進めつつある。酸化物間超近接トンネル接合を化学量だけでなく、物理量変化に感応するセンサー材料としての応用への展開できる可能性もある。
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Research Products
(1 results)