2002 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊帯溶融法によるアイセーフレーザ用ツリウム添加バナジン酸希土類単結晶の育成
Project/Area Number |
13650888
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
樋口 幹雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40198990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小平 紘平 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60002002)
|
Keywords | アイセーフレーザ / バナジン酸希土類 / ツリウム添加 / 単結晶 / 浮遊帯溶融法 / 分光学的性質 |
Research Abstract |
眼に安全な波長のアイセーフレーザは,ライダーセンシングや医療への応用が期待されている.ツリウム(Tm)を活性イオンとすると,励起源として半導体レーザ(LD)が使用でき,高効率レーザ発振が期待できる.Tmレーザの母結晶としては,吸収係数や熱伝導率を考慮すると希土類バナジン酸塩(とくにGdVO_4)が適している.本研究では,浮遊帯溶融法により良質なTm : GdVO_4単結晶を再現性よく育成する条件を確立し,その基本的な光学特性を明らかにすることを目的とした. 雰囲気を酸素をすることにより,透明でクラックのないTm : GdVO_4単結晶(Tm濃度:5-20%)を容易に育成することができた.[001]育成では,成長軸とのわずかな方位のズレにより結晶表面に巨大なステップが形成され,小傾角粒界が発生した.一方,[110]育成では,種付け直後にネッキングをおこなうとにより小傾角粒界のない結晶を容易に得ることができた.また,育成速度と結晶回転数の適切な組み合わせにより,気泡の取り込みを完全に抑制することができた.800nm帯の吸収係数はTm : YAGの数倍あり,Ndレーザの励起に用いる808nmLDの使用が可能である.近赤外領域の発光スペクトルは幅広いものであり,自己吸収のない1950nm以上においても十分な強度を維持していた.蛍光寿命はTm濃度の増大に伴い2.1msから0.5msまで低下したが,レーザ発振をおこなうには十分な長さである. 以上のように,光学的な均質性が非常に良いこと,ならびに分光学的特性においても優れた点が数多く有することなどから,浮遊帯溶融法によって育成されたTm : GdVO_4単結晶は2μm帯のアイセーフレーザ材料としてきわめて有望である.
|