2002 Fiscal Year Annual Research Report
Lewis酸―還元剤系を用いる新規Reformatsky反応の開発
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13650900
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 幸彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50201710)
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Keywords | Lewis酸 / ホスフィン / Reformatsky反応 / 四塩化チタン / Claisen縮合 / チオエステル / アセタール / イミン |
Research Abstract |
これまでにLewis酸と還元剤であるホスフィン類を併せ持ちいると,ホスフィン単独では困難であったα-ブロモアミドの還元反応が温和な条件下,円滑に進行することを見いだしている。この反応では,中間体として金属エノラートを経由するため,アルデヒドを作用させると,Reformatsky型の反応が進行し,対応するβ-ヒドロキシアミドが立体選択的に得られることをすでに報告している。本研究では,この反応の一般性や適応範囲を見極めるとともに,より合成的に有用な反応へと展開してゆくことを目的とする。 昨年度は,α-ブロモアミドにかわり,α-ブロモケトンやα-ブロモチオエステルを用いても,同様のReformatsky型の反応が進行することを明らかにした。本年度は,求電子種の適用範囲を探るために,アルデヒドに代わる種々の求電子剤との反応を試みた。まず,チオエステルそのものを求電子剤とすることで,チオエステル同士の2量化すなわち,Claisen縮合型の反応が進行することを明らかにした。本反応はLewis酸存在下で還元的に進行する新しいタイプのClaisen縮合であり,合成的な有用性は高い。さらに,アルデヒドに代わり,アセタールあるいはイミンを用いた場合でも反応が進行することを見いだした。いずれもこれまでのReformatsky型反応では用いられなかった新しい求電子種であり,本反応特有の反応条件を生かした反応であると言える。これらの求電子種との反応については,未だ収率や選択性,あるいは汎用性の上で解決すべき問題が残されているため,引き続き検討中である。
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