2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子内カチオン-π相互作用を利用する立体選択的付加反応
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13650901
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山田 眞二 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (30183122)
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Keywords | カチオン-π相互作用 / 面選択的反応 / ニコチン酸アミド / 1,4-ジヒドロピリジン / 求核付加反心 / オキサゾリジン / CDスペクトル |
Research Abstract |
本研究では、近年、新しい分子間相互作用として、その重要性が認識されて来ているカチオン-π相互作用を、コンホメーション制御の新たな手法として利用することを検討している。 昨年度までは、キラルなオキサゾリジン基を有するニコチン酸アミド誘導体(1)を、ピリジニウム塩に変換すると、分子内カチオン-π相互作用により、ピリジニウムの片側の面がフェニル基により遮蔽されることを見い出している。さらに、このカチオン-π錯体に求核試薬を作用させると、面選択的に求核付加反応が起こることを明らかにした。 今年度は、1)カチオン-π相互作用が溶液中で存在することをさらに明らかにするため、CDスペクトルによる相互作用の解析を行った。さらに、2)本手法の利用価値を示すため、天然物合成について検討を行った。 1)種々の置換基を有するニコチン酸アミド誘導体(1)について、種々の溶媒中でCDスペクトルを測定した結果、置換基としてベンジル基を有するもののみに、分裂型のコットン効果が得られることがわかった。このことは、ベンジル基とピリジニウム環とが、ある固定された配置を取っており、分子内カチオン-π相互作用が存在することを強く示唆する結果が得られた。1H NMRスペクトルからも、溶液中での相互作用が示唆されており、溶液中でカチオン-π相互作用が存在することを証明することができた。 2)本反応を用いて、天然物であるmeroquinenの合成を検討した。面選択的付加ののち、不斉補助基をShwartz試薬で除去してアルデヒドに変換し、二重結合を水素添加で還元することでcis形のピペリジン誘導体を得ることができた。今後、Witting反応によりビニル基を導入し、ヒドロキシ基を酸化してカルボキシル基に変換することで、meroquinenを合成する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] P.Acharya, O.Plashkevych, C.Morita, S.Yamada, J.Chattopadhyaya: "A Repertoire of Pyridinium-Phenyl-Methyl Cross-talk Through Cascade of Intermolecular Electrostatic Interactions"J.Org.Chem.. 68. 1529-1538 (2003)
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[Publications] S.Yamada, A.Homma: "N-Substituent Effect on the cis-trans Geometry of Nine-Membered Lactams"Chem.Commun.. 2656-2657 (2002)
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[Publications] S.Yamada, C.Morita: "Face-selective Addition to a Cation-π Complex of Pyridinium Salt : Synthesis of Chiral 1,4-Dihydropyridines"J.Am.Chem.Soc.. 124. 8184-8185 (2002)
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[Publications] S.Yamada, M.Saitoh, T.Misono: "Stereoselective Synthesis of 1,2-and 1,4-Dihydropyridines by Using Cation-π interaction as a Conformation-Controlling Tool"Tetrahedron Lett.. 43. 5853-5857 (2002)
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[Publications] 山田眞二: "カチオン-π相互作用を利用するキラルなジヒドロピリジン類の合成"ファインケミカル. 31. 5-20 (2002)
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[Publications] 山田眞二: "分子内相互作用による有機分子の立体配座制御と合成的利用"日本結晶学会誌. 44. 240-245 (2002)