2001 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性キラルセンサーの設計と評価:単一分子システムから組織化アプローチ
Project/Area Number |
13650911
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
久保 由治 埼玉大学, 工学部, 助教授 (80186444)
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Keywords | 蛍光センサー / アニオンセンシング / 1,1'-ビナフタレン |
Research Abstract |
精緻な形状を的確に認識・情報発信できる合成試薬、すなわち光学センサーの合成は分子認識化学分野において魅力ある研究課題のひとつである。とりわけキラルセンシングは様々な用途への適用が可能である。われわれは、当該研究課題において分子内光誘起電子移動(PET)過程を利用した高感度蛍光性キラルセンサーをできる限り単純な分子システムでの発現を目指し、その機能ユニットを組織化させる方法論の開拓を検討している。本年度は、オキソアニオン類と親和性を持ちかつグアニジウム基と類似構造をとるチオウロニウム基を機軸として各種蛍光性センサーの合成をおこなった。その中で、比較的よく研究されている1,1'-ビナフタレンを活用した関連システムの評価を進めた。3,3'-bis[N-(S-benzyl-N'-methylthiouronio)methyl]-2,2'dimethoxyl-1,1'-binaphthalene bis(hexafluorophosphate)は、ふたつのチオウロニウム基が分子内に配置し効率的に1,1'-ビナフタレン環の蛍光をクエンチする。しかしながら、MeCN中AcO^-との滴定実験で3倍モル比のAcO^-を添加したところ、約16倍の蛍光強度の増大が見られ十分な応答感度を示した。さらに添加するアニオン種に対して応答挙動が変化したことから、アニオンセンシング能を有することがわかった。但し、キラルセンシングを目標にするにあたっていくつかの課題も明らかとなった。一方、本年度、アミノ酸の不斉認識を目指し、蛍光性アニオンセンシングを発現するナフタレン-チオウロニウム誘導体に不斉点とカチオン結合部位を収束的に導入した分子システムの分子設計もおこなったので、その合成を検討している。 <発表> l)久保由治・石原晋次・時田澄男、日本化学会第80秋季年会(シンポジウム:学際領域におけるホスト-ゲスト化学の役割)、2B4-02、千葉、2001.
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