2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルキンのヒドロスタニル化における初めてのα-スタニル化
Project/Area Number |
13650920
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝田 育也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10196420)
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Keywords | スズヒドリド / アート錯体 / アルキン / ヒドロスタニル化 / 位置選択性制御 / α-スタニル化 / シン付加 / 高選択的反応 |
Research Abstract |
ヨウ化スズヒドリド(Bu_2SnH)を機軸とした反応剤はアルキンに対して特異な反応性を持つことを見いだした。特にヨウ化スズヒドリドに臭化マグネシウムを添加した系ではところアート型5配位スズ化合物が形成し、この化合物が第1級脂肪族アルキンのα-スタニル化を選択的に起こす事実を確認した。とくに本研究で見いだされたα-ヒドロスタニル化は、従来いかなる方法でも達成されていない初めての発見であり、J.Am.Chem.Soc.誌に速報として発表するに至った。スズ錯体の構造ついては^<119>Sn NMR測定における化学シフトおよび結合定数の測定により可能となり、今後、ヨウ素の求核性などの性質を考察する予定である。本研究においてはα-スタニル化、シン付加といった従来のヒドロスタニル化には全く見られない要素を含んでいる。したがって従来の金属水素化試薬とは異なる全く新しい反応形式を考慮する必要がある。現在のところアート型5配位スズ化合物のカチオン部分がアルキンを活性化し、スズからヨウ素が攻撃する経路を考えている。この段階が遷移金属触媒反応と大きく異なるところであり、反応剤と基質の立体作用が大きく働くものと考えられる。生成したビニルスズ中間体は分子内のスズヒドリドにより還元を受けビニルスズを生成するものと考えている。 今後はヨウ化スズヒドリドの錯体化による反応性、選択性の変化に着目し、分子内配位を利用したアルキンのヒドロスタニル化での位置選択性の制御について検討していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 芝田育也: "Selective α-Stannylated-Addition of Di-n-butyliodotin Hydride Ate Complex to Simple Aliphatic Alkynes"J. Am. Chem. Soc.. 123. 4101-4102 (2001)
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[Publications] 芝田育也: "Synthetic Application of a Series of Organotin Hydride"Main Group Metal Chemistry. 24. 637-646 (2001)
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[Publications] 芝田育也: "Conjugate Hydrostannation of Unsaturated Esters by Iodotin Hydride Ate Complex"J. Org. Chem. 66. 8690-8692 (2001)
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[Publications] 芝田育也: "Indium Hydride ; A Novel Radical Initiator in the Reduction of Organic Halides with Tributyltin Hydride"Tetrahesron Lett.. 42. 4661-4663 (2001)
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[Publications] 芝田育也: "A Highly syn-Selective Allylation of Aldehydes in Water"Eur. J. Org. Chem.. 3207-3211 (2001)
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[Publications] 芝田育也: "Indium(III) Chloride-Catalyzed Coupling Reaction of Acid Chlorides and Allylic Tins"Synlett. 1659-1661 (2001)