2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規アシルシラン類の合成化学的利用と物性・機能の解明
Project/Area Number |
13650922
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大下 浄治 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (90201376)
|
Keywords | アシルシラン / シレン / 熱異性化 |
Research Abstract |
新規なアシルジシラン誘導体2種の合成化学的有用性を明らかにするために、熱異性化反応を検討した。その結果、これらがこれまで例の少ない直鎖共役型シレンの良好な前駆体になりうることを見出した。以下に、具体的な研究成果を述べる。なお当初の研究計画に従って、材料化を目的としたテトラアシルシランの物性検討も並行して行なったが、薄膜化が困難であり、これに関してはさらなる検討が必要である。 1)アシル-(Z)-エテニルシランに100℃以上の熱をかけるとシリル転位を伴う異性化によって2-シラジエンが生成することを確認した。2-シラジエンを比較的低温で発生させた初めての例である。シラジエンの生成は、メタノールによる捕捉実験によって明らかになった。メタノールの不在下では、生成する2-シラジエンは、分子内環化を経由する異性化を起こし、定量的にアシル-(E)-エテニルシランを与えた。さらに、反応の経路を確認する目的で、速度論的解析と中間体モデルの分子軌道計算を行なった。その結果、反応は単分子反応で、異性化のドライビングフォースは、オレフィン上の置換基間の立体反発の解消であることが示唆された。 2)ビス(アシル)ジシランの熱異性化によって、1,2-ジシラジエン誘導体が生成することを明らかにした。生成した1,2-ジシラジエン中間体はさらに異性化して、ジシラシクロブテンへと導かれた。生成経路は、段階的なシレン生成によることがメタノールによる捕捉実験によって明らかになった。
|
Research Products
(1 results)