2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン・クロリン共集合体の構築と光照射による酸素配位能復活に関する研究
Project/Area Number |
13650938
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 晃之 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (30298187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 名誉教授 (90063461)
宗 慶太郎 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (20318835)
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Keywords | ポルフィリン / クロリン / 分子集合 / 酸素配位 / リピドポルフィリン / 光照射 / 電子移動 / 光還元 |
Research Abstract |
両親媒性置換基を導入した鉄ポルフィリン誘導体(リピドポルフィリン鉄)とクロリンまたはポルフィリン誘導体が水相系で自己組織化して形成する共集合体を対象に、光照射によるポルフィリン誘導体の励起条件を解明、これを鉄(III)ポルフィリンの還元反応に利用して、自動酸化しても光照射のみで酸素配位能を復活できる系として具体化することが本研究の目的である。系内に共存させたポルフィリン誘導体の励起状態から、鉄ポルフィリンへの電子移動経路を構築、電子移動の促進条件を分子集合構造と相関させて明らかにした。 第二年次は、還元過程の詳細を検討すると共に、電子供与体(犠牲試薬)を共存させることでFe(II)体の蓄積を可能とし、これをFe(III)錯体の光還元法として確立することができた。 1)得られたリピドポルフィリン小胞体の三次元構造をさらに詳細に解析。励起子相互作用に基づく最大吸収波長(可視スペクトル)のシフト値をもとに、励起子計算からポルフィリン環の微細配列構造を推定した。 2)また、リピドポルフィリン小胞体に共存させたプロトポルフィリン誘導体の励起状態を解析、最適励起波長を選定すると共に、外水相に犠牲試薬を共存させた条件で光照射し、リピドポルフィリン鉄を還元。Fe(II)体の形成は吸収スペクトル変化から観測した。還元の最適条件、P*からFe(III)Pへの電子移動経路を分子集合構造と相関させて明らかにした。 3)また、初年次研究途中、電子供与体となるポルフィリン誘導体を探索している際、リピドポルフィリンとそのZn(II)錯体からなる小胞体で、Zn(II)P一重項励起状態からPへ効率高いエネルギー移動が生起することを見出した。これは水相系における新しい光捕集システムのモデルにもなり得る。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Komatsu et al.: "Self-Organized Lipid-Porphyrin Bilayer Membranes in Vesicular Form : Nanostructure, Photochemical Properties, and Dioxvgen Coordination"Chemistry European Journal. 8. 5469-5480 (2002)
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[Publications] 小松 晃之: "自己組織化リピドヘム小胞体のナノ構造と酸素結合能"人工血液. 10. 120-125 (2002)
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[Publications] T.Komatsu, et al.: "Meso-Tetrakis[N-methyl]pyridinuium]prorphyrin Ensembles with axially coordinated cyclodextrin-penetrating phenethylimidazole : reversible dioxygen-binding in aqueous DMF solution"Chemical Communications. 2003. 50-51 (2003)