2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650945
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三友 宏志 群馬大学, 工学部, 教授 (80008523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕谷 健一 群馬大学, 工学部, 助手 (60301751)
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Keywords | ポリ(L-乳酸) / 生分解性ポリエステル / 電子線照射架橋 / 多官能性モノマー架橋剤 / 熱機械分析 / ガラス転位温度 / 耐熱性及び形状安定性 / 酵素及び加水分解 |
Research Abstract |
ポリ(L-乳酸)(PLLA)はデンプンを原料とし乳酸醗酵の後、化学合成して得られる生分解性ポリエステルである。融点が175℃と高く熱可塑性があり透明であるため、PETなどに替わる環境保全材料と期待されているが、PLLAの大きな欠点としてガラス転位温度(50℃)以上で極端に軟化することがあげられる。本研究はPLLAに様々な多官能性のモノマー架橋剤を加えて電子線照射し分子間に橋かけを導入することによって、PLLAの軟化抑制と形状安定性も付与しようとした。 PLLAに多官能性モノマー架橋剤を3%加え、180℃でよく混合した後、フィルム成形した。これに50kGyの電子線照射を施し、フィルムの熱機械分析を行って耐熱性を調べた。数種類の架橋剤のうち、triallylisocyanurate(TAIC)が特異的な耐熱性効果を示し、ガラス転位温度以上の軟化や融解による試料の流動が抑制され形状安定性が付与されたことが分かった。 膨潤測定では他の架橋剤使用試料と比較して著しく膨潤しにくくなり、DSC測定ではPLLAの融解ピークがほとんど観察されなくなったので、電子線照射によって強固なアモルファス物質に変化したと考えられる。高度に橋かけした試料では分子が固定されているため、低温結晶化を起こすことができず、融解ピークも観察されなくなる。これらの酵素分解試験では未架橋試料より分解性は若干低下したが、分解性は十分保持されていた。 化学合成生分解性ポリマーとして上市しているPESU、PBSUあるいは、PBSAを唯一の炭素源として、集積培養法または直接塗布法により、PESU、PBSUおよび、PBSA分解微生物33株を単離することができた。これらの単離株の生理学的および形態学的性質を調べた結果、脂肪族ポリエステル分解微生物は、バクテリア(グラム陰性菌、グラム陽性菌)、あるいはカビであった。
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[Publications] P. ヌグロホ, 三友宏志, 吉井文男, 久米民和: "ポリ (L-乳酸) のγ線照射による分解"Polym. Degrad. Stab.. Vol.72. 337-349 (2001)