2001 Fiscal Year Annual Research Report
光プローブ法を利用して解明する物理ゲルの動的形成機構とエイジング
Project/Area Number |
13650948
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
板垣 秀幸 静岡大学, 教育学部, 教授 (10159824)
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Keywords | 物理ゲル / 蛍光 / 蛍光偏光解消 / 架橋構造 / ポリマー溶媒化合物 / エイジング / 熱可逆性 / 自由体積 |
Research Abstract |
研究計画の大きな骨子は、光プローブ法を適用して、(1)物理ゲルの網目構造の生成と変化のダイナミックスに関する情報と(2)網目と溶媒の運動性に関する情報を得ることである。本年度は以下の3つの系について研究を進めた。 (1)ANS、オーラミンOなどの分子サイズや特性の異なる蛍光プローブ分子を添加して生体高分子ゲル中の極性・疎水性部分に対する情報を得た。今年度は、分子量の異なるゼラチン・アガロース・アルブミンの水ゲルを調べた。いずれも高分子濃度の増加とともに、架橋部位に取り込まれたためと思われる波長シフトが起こった。特に、ANSはゼラチン分子のヘリックス構造によく吸着するために、ゲル化に先立つヘリックスの凝集に関する情報を得ることができ、ヒトの嚥下運動がおこるゼラチンゲル濃度に対応した変化が観測された。 (2)シンジオタクチックポリスチレン(sPS)の有機溶媒ゲルについては、イソタクチックポリスチレンゲルで成功した蛍光法を適用した。sPS濃度を変化させて、分子サイズの異なるナフタレンおよびその誘導体をゲルに一定量加えて、偏光解消測定からこれらの分子が動けるような自由体積があるかどうかを検証していく方法である。その結果、ポリマー・溶媒分子化合物の存在を明確にしつつある。さらに、sPS固体は4種類の結晶形が知られているが、これらとゲル構造との相関を調べるために、完全非晶・α型・δ型およびこれらの延伸フィルムに蛍光分子をドープしてその自由体積比較を現在行っているところである。 (3)ジ-O-ベンジリデン-D-ソルビトール(DBS)の誘導体を7種類合成・精製し、WAXS・SAXS・DSC・粘弾性の測定とともに蛍光測定を行い、ベンジリデン基同士の基底状態ダイマーを検知することで、ファイバー形成を追跡した。この結果からDBSの十員環部分の構造が、水素結合や疎水結合より重要であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)