2002 Fiscal Year Annual Research Report
船体構造に作用する荷重の位相差を考慮した船体疲労強度設計法に関する研究
Project/Area Number |
13650973
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
深沢 塔一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (80143171)
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Keywords | 船体構造設計 / 応力応答関数 / 簡易推定法 / 船体疲労強度解析 / 波浪変動圧 / ダブルハルタンカー |
Research Abstract |
最近の船体疲労強度検討では疲労き裂伝播解析に基づく手法が用いられている。波浪中を航行する船舶のき裂伝播解析を行う場合、波浪の性質により統計的取り扱いが不可欠となり、各部材に働く応力の応答関数を求める必要が生ずる。ところが、たとえば波浪変動圧による応力の応答関数を厳密に求めるためには、圧力分布形状が空間的・時間的に変化するため、各波条件ごとに時系列で構造解析を行う必要が生ずる。これは現実の船体構造設計においては不可能に近い。また、単一荷重による応力応答関数が求まったとしても、複数の荷重が重畳する場合には荷重の位相差を考慮して応力応答関数を重ね合わせる必要が生ずるが、この位相差をどのように定めるかは大きな問題である。このように、現状では船体強度設計に用いることができる応力応答関数の推定法は確立されていない。 本研究では、簡易的に応力応答関数を求め、実際の船体構造設計に適用できる実用的な設計法の開発を行うことを目的とするが、本年度は、新たにダブルハルタンカーを対象として、DISAMという計算手法にしたがって厳密な構造解析を行い、波浪変動圧、槽内変動圧による応力応答関数を単一荷重による場合と複数荷重が重畳した場合とについて求めた。また、この解析と並行して、研究代表者が日本代表委員を務めるISSC 2003 STCVl.1(疲労強度解析のための荷重委員会)において、他の研究機関の解析手法を調査し解析も行った。 この結果、波浪変動圧による応力応答関数の簡易推定法として、これまでバルクキャリアーに対して有効性が示された研究代表者が提案した相似応答関数法をダブルハルタンカーに適用する場合、これまで考慮していなかった船底中央部の波浪変動圧の応答関数を考慮に入れれば、精度の良い推定が可能になることが分かつた。
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